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「ところでどうしてこんな所に？ 偶然じゃ、ありませんよね」
「うん、一度お店に行ったんだけどね。用事を頼まれてるって聞いてここまで来た」
祭りの明かりが星の姿をかき消している。その代わり雲ひとつ無く晴れた空に月がくっきりと浮かんでいた。
「何か、私に用があったんですか？」
そう聞くとイライさんは少し笑ったまま私から目を背けて、そのまま地面を見つめた。
『その時は僕も連れて行ってくれないかな』
そう言った昔の彼を思い出すのは何度目だろう。
私が消える時、彼も連れて行くと約束した。着いて来てくれると、そう言ってくれた。いつまでも覚えてるくだらない約束。
来世でも巡り会えるはずだとか、互いの終わりが見たいだとか。
「.......実は、Aに話があってさ」
くだらない。
くだらない、思い出だ。
「そうだったんですね。すみません、時間取らせてしまって」
彼が何を話しに来たのかも、本当はわかっている。
「何ですか？ 話って」
わかっていた。わかっている。
私がそうなるようにしたんだから。
「うん、あのね.......」
イライさんの口の動きがスローモーションのように遅くなって見える。
彼は今どんな気持ちなんだろう。
私は普通に笑えているだろうか。
不安と恐怖と絶望で心臓が首まで飛び上がったように息苦しい。いっその事殺してくれ。そう思ってしむ程に、彼の口から出る言葉が怖くて仕方が無かった。
別れの言葉が、底知れぬほどに、恐ろしかった。
覚悟なんてこれっぽっちも出来ていない。
「ま、待って」
時間の動きがようやく元に戻った時、私は咄嗟にそんなことを口にしていた。
「待って、ください...お願い.......」
何を、しているんだろう。
今更何を言ってもどうにもならないのに。
「A.......？」
いい加減腹を括れよ、馬鹿。
嫌な汗が背中に滲んでいる。
待ってくれと頼んだのは私の方なのに、頭は真っ白で、目の前も真っ暗だ。
「ごめんなさい。準備、できてなくて...」
今まで散々時間はあったのに。
「本当はわかっているんです、イライさんが何を伝えに来たのか」
それなのにまだ、彼に会える口実を探している。このままじゃきっと私は楽になれないから。彼を恨んでしまうから。
「少しでいいんです、私に時間をくれませんか」
彼の幸せを願いたいから。
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イキテル(プロフ) - 夜さん» こんなに前の作品にコメントありがとうございます！ 今はスランプ気味で中々お話が思うように書けていませんが、コメントを励みに頑張ります。また機会があればとこかでお会いしましょう！ (2022年1月31日 0時) (
レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 初めまして。この作品を久しぶりに読み返させて頂き、改めて素晴らしいなぁ、と感じました。更新されるのを今か今かと楽しみにしていた日々が懐かしいです。当時はコメントをする勇気がなく、1、2年越しにはなってしまいますが、完結おめでとうございます！ (2022年1月30日 3時) (レス) @page45 id: 1656e46327 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - イライ大好きでなかなかない小説の中でこんなに面白い小説をただで読めるのが夢のようです！本当に面白かったです！更新お疲れさまでした、完結おめでとうございます！ (2021年9月3日 8時) (レス) id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
イキテル(プロフ) - 桃花さん» 最後まで読んでいただきありがとうございました。またどこかでお会い出来れば幸いです。 (2020年12月11日 0時) (レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
桃花(プロフ) - 転生ものが大好きなので、主様の素敵な小説に出会えてよかったです(*^▽^*)完結おめでとうございます、ありがとうございました！ (2020年12月10日 21時) (レス) id: 7b3a824d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イキテル | 作成日時：2020年8月6日 0時
