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前世の母の笑い声が頭の中で小玉している。
認められたいとか、自分を見て欲しいとか、そんなものまでどうでもいいと思えてしまう。
ただ、苦しい。この苦しさから一刻も早く解放されたかった。
ふとつま先がアスファルトの窪みにはまり、転ぶ、と認識する。頭が理解した瞬間目の前に来る地面。
顔を撃たれるような衝撃がそこにはあった。
次に聞こえたのは、人混みの端で転んだ私を嘲笑う声だ。
大切な人を自ら手放したにも関わらず、未だに過去を拭いきれない。それどころか執着している。そんな私を笑う声だ。
私が彼を傷付けたのに。いつまでも被害者面をするような自分が憎たらしくて仕方がない。
体の一部をもぎ取られたみたいだ。
うるさいな、惨めだなんて、そんなの一番自分がよくわかってるよ。
擦りむいたのか、手首の皮膚が少しだけ剥げている。
私がいくら変わろうとしても、多分、こればっかりはどうにもならない。これがイライさんの言う、「荘園に囚われている」という事なんだ。
吐き気を押さえ込んだまま立ち上がろうとすると、足首に熱い痛みが走り再びその場に膝を着いてしまった。
「あの、大丈夫ですか？」
頭上から振る低い優しい声に無意識に肩が揺れる。いっその事無視してもらえればどんなに楽だったことか。
「立てますか？ 手、貸しますよ」
「い、いいです。一人で立てますから....」
私の肩に触れようとした熱い手を払う。......本当に嫌なやつ。
「怪我している人を放っては行けません」
「いいから気遣いは要りません！ ....気分が悪いんです、お願いだから放って置いて。貴方まで変な目で見られてしまう」
嫌なやつ。せっかく手を伸ばしてくれたのに、私は。
それ以降男性は何も言わず、ただ背後で私を見つめているだけだった。
時間と人混みだけが流れていく。
「ごめんなさい」どころか「ありがとう」も言えない。
「.......かまわないよ、そんなの気にしない」
優しい手が、また肩に触れた。
心が風に吹かれる木の葉のように揺れる。喉が込み上げてくる涙を飲み込むかのように、無意識にごくりと動いた。
「僕の大切な人ならきっとこうするもの。Aが教えてくれたんだよ」
陽だまりのような温かい感情。そうだ、彼はいつも温かい気持ちにしてくれる。
フードを引っ張って恥ずかしがっていた姿も、こうやって気にかけてくれる姿も。全て愛おしいと感じてしまう。
「.......い、イライ、さん..」
やっぱり彼は特別だ。
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イキテル(プロフ) - 夜さん» こんなに前の作品にコメントありがとうございます！ 今はスランプ気味で中々お話が思うように書けていませんが、コメントを励みに頑張ります。また機会があればとこかでお会いしましょう！ (2022年1月31日 0時) (
レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 初めまして。この作品を久しぶりに読み返させて頂き、改めて素晴らしいなぁ、と感じました。更新されるのを今か今かと楽しみにしていた日々が懐かしいです。当時はコメントをする勇気がなく、1、2年越しにはなってしまいますが、完結おめでとうございます！ (2022年1月30日 3時) (レス) @page45 id: 1656e46327 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - イライ大好きでなかなかない小説の中でこんなに面白い小説をただで読めるのが夢のようです！本当に面白かったです！更新お疲れさまでした、完結おめでとうございます！ (2021年9月3日 8時) (レス) id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
イキテル(プロフ) - 桃花さん» 最後まで読んでいただきありがとうございました。またどこかでお会い出来れば幸いです。 (2020年12月11日 0時) (レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
桃花(プロフ) - 転生ものが大好きなので、主様の素敵な小説に出会えてよかったです(*^▽^*)完結おめでとうございます、ありがとうございました！ (2020年12月10日 21時) (レス) id: 7b3a824d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イキテル | 作成日時：2020年8月6日 0時
