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「君に何かをしてやりたいと思ったのは、Aが一番大切だからなんだよ」
どこか懐かしさを感じさせるような、草の青っぽい匂いが鼻をついた。
俯いていた顔を上げた彼はまた、私の目を見る。
「勝手に準備させてもらった。酷いこと言ってごめん...受け取ってくれる？」
鮮やかな紅。泣き腫らした目のような色。
いつか、誰かが嬉しそうに広げていた赤いスカートをを思い出す。
美しくて、それでいて可愛らしくて。その光景は記憶の中の断片に今でもこびりついている。
羨ましかった。
「....... .......アネモネ、」
喧嘩してしまったことなんて、もはやどうでもよかった。そんなふうに思えてしまうことも、大切だと思う人から何かを貰うのも初めてだった。
ましてや、花なんて。
何故こんなにも美しく見えるのだろう。
「Aにきっと似合うと思って。もちろん花のことはよく分からないから、人に手助けもしてもらったけど...」
恥ずかしそうに首まで真っ赤に染めたイライさんは、さながらこの花のようだ。
彼に沢山、伝えたいことがある。
貴方の気持ちを考えずに怒ってしまっただとか、私もイライさんに何かお返しをしてあげたいだとか。
しかしそんな言葉が口を付くよりも先に、私の感情が無意識に目の縁から零れた。
「A？」
目の縁に触れる。
ああ泣いているのか、と気がついたのはその時だった。
驚いたように肩を跳ねさせたイライさんは、心配するように眉を下げるといつものように少し屈んで、目線を合わせながら私の顔を覗き込む。
ふわり、と彼の匂いが漂う。
「どうかした？ 嫌だった？」
自分の視界には、糸が切れて離れた首飾りの玉のように涙が散らばって見えるが、それがどうして溢れてくるのかまるで理解できずにいた。
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イキテル(プロフ) - 夜さん» こんなに前の作品にコメントありがとうございます！ 今はスランプ気味で中々お話が思うように書けていませんが、コメントを励みに頑張ります。また機会があればとこかでお会いしましょう！ (2022年1月31日 0時) (
レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 初めまして。この作品を久しぶりに読み返させて頂き、改めて素晴らしいなぁ、と感じました。更新されるのを今か今かと楽しみにしていた日々が懐かしいです。当時はコメントをする勇気がなく、1、2年越しにはなってしまいますが、完結おめでとうございます！ (2022年1月30日 3時) (レス) @page45 id: 1656e46327 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - イライ大好きでなかなかない小説の中でこんなに面白い小説をただで読めるのが夢のようです！本当に面白かったです！更新お疲れさまでした、完結おめでとうございます！ (2021年9月3日 8時) (レス) id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
イキテル(プロフ) - 桃花さん» 最後まで読んでいただきありがとうございました。またどこかでお会い出来れば幸いです。 (2020年12月11日 0時) (レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
桃花(プロフ) - 転生ものが大好きなので、主様の素敵な小説に出会えてよかったです(*^▽^*)完結おめでとうございます、ありがとうございました！ (2020年12月10日 21時) (レス) id: 7b3a824d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イキテル | 作成日時：2020年8月6日 0時
