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「趣味じゃないのか。ああいう、ヒラヒラした服は」
「え？」
「荘園にいた時も支給された服なんて滅多に着なかっただろ」
「一度無理矢理着せられたことはありましたけどね」
会話が途切れないように懸命に言葉を探していた。気を使っている訳では無いが、Aが普段通りに質問に答えてくれると安心する自分がいる。
いや気を使っているのかもしれない。Aが悲しいことを思い出さないように。
だけどこいつに卑屈な事を言わせてしまうのも、いつも俺自身だ。
「その件で自覚しました。びっくりするほど似合わない。華やかな化粧も、フリルやレースが付いた綺麗な服も....馬子にも衣装というやつです。実に惨めでした」
イライ、本当はさ、俺もお前が帰ってきてくれることを望んでるんだよ。信じてるんだよ。
でもお前は見掛けより馬鹿で単純だから、コロッとまた俺達のことなんて忘れてしまうかもしれないだろ。
過去の大切な思い出を、思い出すと同時に.......。
「惨めとか、言うなよ。可哀想だろお前が」
だからこれは保険だ。
「サベダーさんは変だと思いますか」
「何が？」
「.......わからないんです。社会の言う女らしさが。だってかけ離れているでしょう、私。そういう理想から」
お前が帰ってこなかった時の。
「女らしいとか男らしいとか、よく分かんねえけどさ。やりたい事やれよ、無理に他人と同じ生き方はしなくていいし、何よりお前はお前だろ」
そう言うと、Aはやけに嬉しそうに頬を綻ばせて微笑んだ。
「ふふ、サベダーさんらしくないですね」
ああよかった。やっと笑ってくれた。
俺下手くそだからどうすればお前が喜んでくれるだとか、笑ってくれるとか全然わからなくて。女の扱い方も知らないし。
「なあそろそろ、俺のことも名前で呼んでくれよ」
ずっとあいつじゃないと、イライじゃないと駄目かと思っていた。Aをこんな風に笑わせられるのはイライしかいないと思い込んでいた。
でもそうか、こんなに簡単な事だったんだな。
イライ、もしお前が帰って来なくても、俺たちきっと大丈夫だよ。
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イキテル(プロフ) - 夜さん» こんなに前の作品にコメントありがとうございます！ 今はスランプ気味で中々お話が思うように書けていませんが、コメントを励みに頑張ります。また機会があればとこかでお会いしましょう！ (2022年1月31日 0時) (
レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 初めまして。この作品を久しぶりに読み返させて頂き、改めて素晴らしいなぁ、と感じました。更新されるのを今か今かと楽しみにしていた日々が懐かしいです。当時はコメントをする勇気がなく、1、2年越しにはなってしまいますが、完結おめでとうございます！ (2022年1月30日 3時) (レス) @page45 id: 1656e46327 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - イライ大好きでなかなかない小説の中でこんなに面白い小説をただで読めるのが夢のようです！本当に面白かったです！更新お疲れさまでした、完結おめでとうございます！ (2021年9月3日 8時) (レス) id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
イキテル(プロフ) - 桃花さん» 最後まで読んでいただきありがとうございました。またどこかでお会い出来れば幸いです。 (2020年12月11日 0時) (レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
桃花(プロフ) - 転生ものが大好きなので、主様の素敵な小説に出会えてよかったです(*^▽^*)完結おめでとうございます、ありがとうございました！ (2020年12月10日 21時) (レス) id: 7b3a824d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イキテル | 作成日時：2020年8月6日 0時
