おめかし ページ5
Aside
｢A〜起きてー」
お母さんに起こされたのはいつぶりだろうか。そんな事を考えながら起きたばかりの重い体を無理矢理起こす。まだ、完全には覚醒していない脳を起こす為、洗面所へと足を運び、冷たい水を勢いよく顔へかける。
｢よーし、お化粧するわよ」
お母さんがそう意気込み、優しく顔に綿をぽんぽんとあてていく。案外お化粧はすぐできる物で、おおよそ十分程で終わった。昔、お化粧は綺麗になれる優れ物と考えていたが、実際やってみると綺麗にはなるものの、自分の顔の違和感が凄くあまり喜びを噛み締める事は出来なかった。
次は着付けだ。
普段は、着物もどきの物を着用している物のここまで本格的な着物は着た事が無い為幾ら死んでしまうといえど、少し楽しみだったりもする。
｢ここ持って」
｢腕広げて」
などお母さんの指示に従いやっと着付けが完了した。
｢出来たわよ
どう？」
『...綺麗』
｢でしょ」
着付けが終わり、自分の姿を姿見で見ると自分でも驚く程見違えており、思わず本心が口から零れた。帯が固く締め付けられている為昼食は握り飯一つにしてもらった。
昼食を摂り、暫くしてお母さんが部屋にやってきた。そして紙を渡されこう言われた。
｢犬神様の御屋敷に入ったら、この紙に書かれている事を言うのよ。」
紙に書かれている内容を少し覗くと犬神様への挨拶と犬神様へのお願い事が書き記されていた。
『はい』
と返事をし、そのままお母さんはリビングへと戻っていった。紙に書かれている物を何度も読み返し、暗記をしようとしているうちにもうすぐ日が沈む頃になってしまった。一応紙に書かれている内容を覚え、もうすぐで家の前に来るであろう村の人々を待った。
死にたくない。
この言葉がまだ呪いのように脳に張り付いている。しかしもう逃げる事も出来ない。嫌だ、と家族に言っても無理矢理連れていかれるだけだ。
一度見た事がある。犬神様の生贄に選ばれ逃げようとした子を。でも結局村の人達に連れて行かれて、犬神様の祭壇で姿を見た時は、まるで人形のように自身の意思では動いておらずそのまま犬神様に殺された。
だから、家族も村の人も誰一人として信じる事は出来ない。
せめて、
死んでしまうとしても苦しまずに死にたい。
なんて、今まで一度も助けてくれなかった神様に手を合わせてお願いしてみる。
｢Aちゃーん
村の人達が待ってるわよー」
『はーい』
犬神様に捧げられるまで残り僅か。
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あまね(プロフ) - すき (8月8日 4時) (
レス) @page28 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 彩雲朱瑠璃さん» 返信、遅くなってしまい申し訳御座いません。感想だけで無く、アドバイスまで頂けるなんて感無量です。その、助言有難く頂戴致します。更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (2022年7月25日 12時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
彩雲朱瑠璃(プロフ) - すごく面白くて好きです！あ、あともしかしたら１ページ目のはないちもんめのところ、「ちょっとおいで」じゃなくて「ちょっと来ておくれ」かもです。在住地違いなどもあるかもしれませんが… (2022年7月18日 21時) (レス) @page1 id: b1698b1cbf (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 名無しくんさん» 返信遅くなり、申し訳ございません。初コメ有難うございます。更新は不定期ですが、これからも頑張りますので、乞うご期待を宜しくお願い致します。 (2022年5月22日 10時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - とても素敵な作品ですね！私には書けない…すごいです！なんかこう…すごいです！(語彙力０)これからも頑張ってください！ (2022年4月14日 22時) (レス) @page9 id: 271b6082c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月1日 12時
