彼が消えて早5年。今私は...6【降谷零・安室透】

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顔にかかっている髪をそっと横に払い、優しく頭を撫でる。







慈しむような零のその動きに、そっと零へと視線を向ければ、そこには愛おしい、という感情を隠さずに溢れさせている姿があった。








「もう、行かなきゃいけないんだ。...やらなくちゃいけないことがある。」








ひとしきり3つ子を慈しんだ零は、キュッと表情を引き締めてそう呟いた。









離れ難い、というように澪を撫でる手を止めない零に思わず笑みをこぼすと、ムッとした様子でこちらを見た。






一瞥した後に、もう一度3つ子の方へ向き直った零は、最後に、とでも言うように3人の額に1度ずつちゅ、とキスを落としていく。









「お休み、いい夢を。」








ふにゃふにゃと笑いながら眠る3人にそう告げた零は、ベッドから立ち上がり近くの椅子に座っていた私の前に立った。









「...A」





呼ばれると同時にグイッと引き上げられてそのまま抱きしめられた。









そのまま動かなくなった零にどうしようかと考えを巡らせていると、ぎゅっと抱きしめられた腕の力を強くされてから、少し緩めた零は今度は額を合わせてくる。









「A、3つ子を、頼む。これが終わったら合わせたい奴がいるんだ。ハロって言うんだが飼い始めた野良犬で...Aと、3つ子にも合わせたい。」









目をつぶってそう言ってくる零に、うん、と言葉を返す。









「待ってる、待ってるよ。今までも、これからも。ずっと零のことを待ってる。だから...どんなにボロボロになったとしても。死なないで、帰ってきて？零の帰る場所は、ここにあるから。ね？...いってらっしゃい。」









触れていた額をそっと離して、零の前髪をあげ、額にそっと唇を落とす。









零が3つ子にやっていたように、慈しむように、愛しさを込めて。

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