黒子の場合 ページ1
ガタッっと音がし、次にカツカツという誰かの歩いてくる音が聞こえたのだった。
黒子テツヤは、先日の大会の事を思い出し、口元を緩める。
携帯には音信不通状態となっていたはずのみんなとの会話履歴が残っていた。
そして、写真には仲良く映っている「キセキ」の皆。
その写真を見てはこれが夢でないのだと、安心する。
「あれ?黒子君まだ帰ってなかったの?部活は今日休みじゃなかった?」
そうひょこっと顔をのぞかせたのはこのクラスの副委員長。
その性格の良さから皆に好かれているように見える少女。実際のところは黒子の与り知るところではないのだった。
しかし、良く周りに目を配っており、影が薄く、人から気付かれにくい黒子でさえ容易に見つけ出せる希少な人物なのだった。
「いえ、火神君が先輩に勉強を教わっているので待っているところです」
「あちゃー…黒子君も大変だねー。大我には言っておくから、帰っていいよ?ほら!黒子君大我みたいにがたいよくないから夜は危ないよ」
“大我”という言葉を聞いて胸にどす黒いナニカが広がっていくのがわかった。
それがなんなのか分かって、苦笑してしまう。
「仲、良いんですね。」
「ん?んーまぁ…女子といるより楽だから話をしてるうちにね、友人になったんだよ。それに、私女子からは嫌われているからさ」
「そうなんですか?」と、黒子は驚いた表情で聞き返す。女子は、演技がうまいというのをよく聞いたが、まさかっという思いが強い。
「うん、女子は怖いよー」っと、にこやかに笑う彼女の表情の下に、数え切れないほどの傷痕があることを今更ながらに知った。
そう思うと、その笑顔が歪んで見えるようだった。
「あの」
「ん?」
「僕は君の事好きですよ」
「うん?アハハ、有難う!私も好きだよ」
「では付き合いましょうか」
「え?」
「じゃあ今度の日曜日にでもデート行きませんか?」
「え?え?え?」
「あぁ、勿論、これまでの分振り回すつもりですし、僕のこと本当に好きになってもらうつもりなので、覚悟していてくださいね」
happy end?
貴方を振り回す覚悟で
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