真っ赤な短編集~

＊ ページ9

Side Yb




爆弾告白をした後、


山田はハッとしたような顔にになると "忘れて" と残して帰ってしまった。






あれから10分、ボーゼンとしてた俺はやっとの事で重い腰を抱えて店を出て、


今は人気のない公園のブランコで頭の中を整理しようとしていた。






裕翔が二重人格…


それで裕翔の人格が変わった時に山田は殴られてる…



これは裕翔は知らないようだったし直接本人に伝えるべきか？





いや、でもそうするときっと裕翔は自分を責めるだろうし、

何よりも山田は裕翔と離れたくないから隠してたんだよな…




「あ"〜 もうわけわかんねぇよ…」






こうゆうときに無性に話したくなる相手がいる。




夜遅いし迷惑だろうと知っていながらも指は勝手に通話ボタンを押していて、

冷たい機械が耳にあたる。





プルルルル、プルルルル、プルル…





『…もしもし？』


「光…」




『薮どした？山田と飲みすぎて酔ってる？』


「…ちげーよ。」



『…』


「…」



『じゃあ…


裕翔と山田のことでなんかあった？』



「はっ⁉」



なんも言ってないのに俺の悩みを当ててしまったあいつ。



『ドンピシャ〜ナ♪』




なんて呑気に光は笑ってるけど

俺の頭の中読めんのかな？




『ま、でもとにかく何があったのよ？


あそこは俺も最近薄々と様子が変だなとは思ってたしさ。』



真面目なトーンに戻った光。

いつもバカしてるようで実はやっぱりメンバーの事をキチンと見てるんだな、なんてちょっと感心した。



「それがさ、

裕翔が…




裕翔が山田の事を殴ってるみたいなんだ。」


『はっ⁉⁉⁉⁉』



バカみたいにデカイ声に電話を耳から遠ざける。



「うるせー」


『いやいやいやいや、えっ⁉

裕翔が⁉ それって今すぐにでもちゃんと話し合いをするべきなんじゃねえの？』




プチパニック状態に陥ってる光の言うこともわからんでもない。



「だけどそれが出来ないから困ってんじゃん。」




『どーゆうことだよ？

ビビってないでさっさと問題解決する方が大事だろ。』



「違うんだよ、

裕翔自身も山田を殴ってる事を知らないみたいなんだ。」



『はぁ？』



だよなぁ…

俺でもこんな事言われたら意味わかんなくなるわ。




現に今頭こんがらがってるし。



「裕翔、二重人格なんだと。」



『…意味わかんねぇよ。』


「俺もだよ…」



生暖かい空気を大きく吸い込んで吐き出した。

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