【呪術廻戦】呪術とギャル-0.4-

056：初めての燃える男32 ページ46

轟音を立て炎が噴き出されたかと思えば、炎は渦を巻き火柱を打ち上げる。

「いやいやいや教室燃えますって！！！」

冗談じゃないのかよ、と漸く正気に戻った夏油が焦って言うものの、Aは炎の煌めきを目に映し「うわっやっっっばッ！！超テンションあがんだけど！？クソでか手持ち花火みたいじゃない！？」と夏油に言っている。

完全にハイになったAに、夜蛾は口をあんぐりと開けた。
悪化しとる。アイツのやりすぎが、悪化しとる。

「A、お前後処理まできっちりやるんだろうな！！？」

夜蛾は叫ぶようにAへ訊ねるが、Aから返答はない。

「これで、最強の刀の完成だ」

Aは言うと、勢いよく刀を振るった。
男から噴き出された炎は断ち切られ、炎を纏う刀と分離する。
彼らの目の前でメラメラと燃える炎の刀。
皆、その刀を前にして呆気に取られていた。

「うん、成功」

鉄が溶けることも、失敗することもなかった。
完璧な博打であったというのに。

鉄が溶けることも、失敗することもなかった。
完璧な博打であったというのに。
満足気にAは刀を眺めると、最高の悪戯を行う悪ガキのように凶悪な笑顔を浮かべたのだ。

そして、次の瞬間。

「…！！？」

夏油は目を見張る。

暗闇を纏う床に炎を纏う刀を突き立てるA。
刹那、ガソリンでも撒いていたと言わんばかりに、床には刀を中心に炎が広がり一気に炎の海と化したのだ。

業火の赤い揺らめきは、Aの凶悪な笑顔を一層際立たせた。
勝てない。そう思わせる気迫。
あぁ、この人心の底からイカれてるんだ。一年三人は確信する。


「ギャあああぁぁぁぁ゛ッッ！！！」

けたたましい金切り声が聞こえたかと思えば、例の狐が暗闇＿＿今は業火の床か＿＿＿の床から飛び出してきた。
全身に炎が引火し、床を転げ回る狐。
鎮火しようにも、どこを行っても炎の海だ。

「夏油クン、水！！」

狐を引き摺り出したのを皮切りに、Aは弾かれたよう夏油へ指示を出した。
あまりの唐突なご指名に、一瞬固まる夏油。
しかし、すぐに自分には何が出来るかを困惑する頭で導き出し、夏油はAの指示通り“水”を出す事が出来る呪霊を出現させた。

鴎だかペリカンだか、よく分からない鳥の呪霊が教室の上空を旋回する。
鳥が旋回した後には、雨が降っていた。

その雨の中を刀片手に進むA。
雨に濡れようが構わない。不思議なことに、刀の炎だけは消えていなかった。

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