【呪術廻戦】呪術とギャル-0.4-

041：初めての燃える男17 ページ31

「いッッッッッてぇ、なァ！！？？？」

「なんで私もなんですか！悟だけでいいでしょう！！」

後頭部を抑えて、二人の男子生徒が担任の夜蛾へと抗議する。

「親御さんらから、お前達をこってり搾っていいと許可は貰っている」

「ははッ、残念だったな傑」

「五条家からは、こっちが申し出ずとも頭を下げられたよ」

「俺もぉ！！？？？」

綺麗な手のひら返しに、五条はころころ表情を変える。
実に愉快な男だな、夏油は横の同級生を見て『自分の方がマシ』と思ってしまう。

ギャーギャー騒ぐ彼らを横目に、そそくさと逃げていく硝子。
彼女は入学早々に説教中近くにいると巻き込まれることを学んだ。
しーらね、と廊下横の空き教室へと隠れていく硝子。

未だ廊下で説教を喰らっている彼らを思うと、まるで本当に廊下に立たされてるみたいだなと硝子は独りごちた。

ふと、自分からはだいぶ位置が離れているが、窓際の机に何かが載っているのを硝子は見つけた。
なんだあれ。

じっと眺めていると、ガラと戸を開け夏油がため息混じりに入ってきた。

「あれ、怒られてたんじゃないの？」

「いや、私は終わったよ。悟は口答えするもんだからまだ続きてるけど」

廊下の方へ親指を向け言う。
確かに、外ではまだギャーギャー騒ぐ声が聞こえていた。
ふむ、このギャーギャーは五条だったか。

分かりきっていた事だが改めて再確認した時、あぁそうだと机に載っている謎の何かについて硝子し思い出した。

「夏油、あの机の上に載ってるのなんだと思う？」

「どれ？」

「アレだ」

指さす硝子の視線を辿り、夏油は例の机を見た。
確かに、何か載っている。

白っぽい平べったいもの。

紙か…？

二人は顔を見合わせると、特に言葉を交わすことなくそれに近寄っていった。
そして、二人は机の上を見るなり微かに目を丸くしたのだ。

「初めて見た…」

硝子の言葉に、夏油が頷く。
彼もこれを見るのは初めてであった。

「『こっくりさん』だよね…？」

口に出してみると、やけに口の中が乾いていく感じがした。

心霊現象の殆どは呪霊によるものばかりだ。
一般人には見えないことから、心霊と位置づけられてしまう。そのために、見える彼らからすれば心霊など対した問題ではない。
しかしながら、擦りに擦られたこの『こっくりさん』を見た時は、確かな悪寒が彼らの背を撫でた。
見えない可能性の方が怖い。
ホラーゲームだって出てくる時よりも、出てきそうな時の方が怖いのと一緒だ。

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