【呪術廻戦】呪術とギャル-0.4-

036：初めての燃える男12 ページ26

全身炎に包まれた燃える男は、すっと立ち上がるなり上機嫌に喋り出す。
唖然とするA。暫く彼女の思考に宇宙が流れ込んだあと、すぐさま自力で現世に思考を戻し、まずは思った言葉第一声を叫んだ。


「いや、ただの陽気なオッサンじゃねーーか！！！！」



















帳の前で行ったり来たりを繰り返す七曲。
Aに呪具のことは秘密にしとけと言われたが、夜蛾の電話口での圧が凄まじすぎて言ってしまった。
そりゃ、「で、Aは悪さしてないか？“今日は”呪具は盗んでないか？ん？」とあの低い声音で言われれば結局口を割ってしまうのも無理はない。

何と何を持っていったかという話をすると、夜蛾は少し間を置き「…不味いな」と返してきた。
七曲にとって、それは初めての返だったのだ。

普段は、「あのアホ…」と呆れた返しをするだけであったのに、今日はいつもと違う。
結局、初めてそんな言葉を口にしたあと、「外で待機していてくれ」と言う言葉を最後に切ってしまった。

何が不味いのだろう。
いつもは帰って説教で反省文書かせて終わりなのに。
鍵を強固にするだけじゃもうダメだと思ったのだろうか。

いや、それならこんな事言わない。

じっと止まってみるもののやっぱり落ちつかず、七曲は早る気持ちを放出すようと行ったり来たりを最初と同じように繰り返した。

そんな事を何度か行っているうちに、遠くで車の音が聞こえ出し七曲は弾かれるよう顔を上げた。
漸く到着した黒塗りの車に、七曲は急いで駆け寄る。

「夜蛾先生…！お疲れ様です…！！」

待ってたんですよと言わんばかりの七曲。
夜蛾は車から降りるなり、「状況は？」と訊ねた。

「数分前にAさんが入り、まだ音沙汰はありません。特に不審な音もしませんし…あ、」

七曲が夜蛾の後ろに気づく。
後部座席の扉が開いたかと思えば、体格も身長も中々良い黒髪の学生が降りてきた。

長髪まとめ髪にデカピアスにボンタンに、いや地下足袋って…なんちゅー格好の学生だ…

と言いたくなったのは置いといて、彼の後に続いて今度はショーカットの小柄な学生が降りてきた。
彼女は割と普通というか、有名だ。反転術式の使い手。あぁ、この子がと思うと同時に、じゃあ先に降りた青年は呪霊操術の、と気づく。

そして、彼らとは反対の扉から降りてきた学生。

呪術界トップクラスの有名人、五条悟。
実物初めて見た…と、七曲は思わず彼をじっと見てしまう。

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