【呪術廻戦】呪術とギャル-0.4-

031：初めての燃える男7 ページ21

恐る恐る七曲は周りを見渡した。

いない。
どこにもいない。
あの目立つ金髪のギャルがどこにもいない。

まさか、廃校内に入っていったのか？
七曲は思って、わなわなと唇を震わせ遂には叫んだ。

「あンのクソガキィィィイイイ！！！」


無論、外でこだまする彼女の叫びに、既に内部へ入っていったAは小さく舌を出したのであった。


「そっちの口悪そうな方が可愛いじゃん、七曲チャン」


Aは呟いて、ずかずかと古びた校内へ侵入していく。
さて、男は今も燃えているか＿＿＿＿。



















五条悟は車窓を眺めていた。

なんで俺が雑魚の仕事わざわざ見に行かなきゃなんねーんだよ。そう思って、不貞腐れたように車窓を眺めているうちに、東京の喧騒はみるみるうちにすぎさり、いつしか風景は田舎道に変わっていた。

「五条、あんまり足広げんな。狭い」

隣の硝子が言う。
五条はその言葉に渋々広げた足を組んでやった。
うるせぇだのなんだの言ってやっても良かったが、入学当初に彼女に口答えをしたら普通に解体(バラ)されそうになったので、以降は彼女に楯突くのを辞めた。

『私、将来を見据えて医師免許も取ろうと思ってんだ〜』

そう言い放った彼女の真っ黒な瞳は今でも脳裏に焼き付いている。

「すみません、後ろに三人も乗せてしまって」

「デカいのが二人も居るんだから、どんな格好しても狭くなりますよ。気遣いありがとうございます。でも、気にしないでください」

運転する補助監督へ、すかさず夏油が返す。
これも入学時からだが、コイツのこういう優等生ぶってる感じは嫌いだ。

とはいえ、コイツが持つ『呪霊操術』は厄介だ。
認めたくないが、多分コイツまぁまぁ強い。
まぁ、俺の方が数億倍強いけど。

「Aのやつ、携帯が繋がらん」

助手席に乗った夜蛾が、何度も携帯に耳を当てては離してを繰り返す。

「Aさん、もう帳の中ですかね。あそこは連絡取れませんし」

「そうだといいんだが...。アイツの事だ、七曲を困らせてるんじゃないだろうな」

夜蛾は言って、今度は七曲に電話をかける。


可借夜A。
マジで嫌いな因縁の女である。
クソ、ちょっと顔可愛いからって調子乗りやがって
なんでアイツの任務見に行かなきゃなんねーんだよ


「...チッ」

無意識に出た舌打ちに、「お」と硝子が短く反応する。
同じく、聞こえていた夏油は横目で五条を映しながら「悟、一体何時まで臍を曲げてるんだ」と半ば呆れて言った。

032：初めての燃える男8→←030：初めての燃える男6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す