【呪術廻戦】呪術とギャル-0.4-

025：初めての燃える男1 ページ15

「いやぁさ、」

Aは、目の前の廃校を目に写したまま口を開く。

「それって、窓の報告じゃないよね？」

Aの言葉に、今まで報告内容を淡々と述べることに徹していた七曲が微かに反応を見せた。
カチャリと眼鏡を押し上げ、パタリとバインダーを閉じる。
それ即ち、七曲が今から報告以外のことを述べるということであった。

しかし、彼女は口を開いてくれない。

ということは、報告書には書くことが出来ない“七曲だけ”が知っていることがあるということ。
だが、彼女の立場からして、それを学生であるAに言うか否かで悩んでいる。

もう一押しいるか。

「それと、もう一個。何十年も廃校だったにしては、最初の被害が半年前って…」

七曲チャン、Aが呼ぶと七曲はビクリと肩を揺らす。
まるで虐めているみたいな気分にAはなるが、それでも七曲が隠すなんらかの事象を聞き出すには鬼となるしかない。


「本当にここに居るのは、『燃える男』か？」


ここ。
Aがクナイの先で廃校を示す。
強い口調を使う時のAは、他者から見るとかなり気迫がある。
普段は明るく声をかけてくれるギャルお姉さんという感じだが、ひと度元から切れ長の目を細め派手な顔と特段高くない声音で詰め寄られれば、誰でも簡単に萎縮してしまう。

中々肝の据わった七曲でさえも、薄らと顔を青くさせていた。

これじゃあ、クラスの読書委員長虐めてる怖いギャルみたいになっちまう…
Aは、心の中でバツが悪そうな顔をする。

しかし、表面の顔は一向に変わらずを貫き通していると、ついに七曲が折れて息を吐き出した。

「…鋭いですね」

「女の勘ってやつっしょ」

Aは、威圧的な表情を解く。
普段の明るく軽薄そうな彼女の表情に、張り詰めた空気が解かれていく。

女の勘。
そう言ったが、しっかり内容の可笑しな点を踏まえた上での発言じゃないか。


四級以下からの、たった半年で異例の飛び級。
一級呪術師の称号も伊達じゃないな…


七曲は脳で描き、隠された事の詳細を語った。


「こちらの内容、実は先日判明したんです」

「というと？」

Aの訊ねに、七曲は眼鏡の奥で視線を逸らせ、口を重そうに開いた。


「匿名のタレコミです」


その言葉に、Aの片眉が上がった。


「性別は男性で、こちらが求めても一行に名乗りませんでした。最初は、私も悪戯電話だと思ったのですが＿＿＿＿＿、」

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