【呪術廻戦】呪術とギャル-0.4-

021：初めての規格外 ページ11

いいや、白い！！純白だ！！と言い張る五条を尻目に、夏油が夜蛾の方へ向き直った。

「その、可借夜A先輩。例の、飛び級呪術師ですよね？」

私でも知ってます。
付け足した夏油。彼は一般家庭からの出身だ。
故に界隈の知識はあっても内情には実際疎いわけなのだが、そんな彼でも可借夜Aの名は知っていた。

「昨年、一級呪術師との共同任務を受けずして異例の四級から一級に昇格した呪術師。その実態は、16歳の女子生徒って…」

興味深そうに述べる夏油に、硝子が「しかもギャルね」と付け足す。

思い浮かべても、その噂の呪術師があの戦う気など更々無さそうなギャルと上手くリンクしない。
硝子は、恐らくAが“成った”あの日に腕を治したわけなのだが、やはりあの日を思い出してもそんな化け物じみた感覚が当てはまらなかった。

「そもそも、問題なのはそこじゃないんです」

夏油が切り出すと、次に彼は不貞腐れている五条の方へ顔を向け訊ねた。

「悟、初めて可借夜先輩に会った日、勿論無限は張ってたんだよね？」

その問いに、聞いていただけの夜蛾が訝しげに顔を顰めた。
五条は席についているものの、足を大きく広げ不服そうに頬杖をつき「ああ、当たり前に張ってたね」と半ば投げやりに返した。

「最初は張ってなかったけど、やべぇかもって思って途中から張ってやったさ。それをあの女…」

タンタンタン。
五条の片足が床を何度も踏み鳴らす。
「うるせーから辞めろ」と硝子が言うと、その足踏みは五条の舌打ちを最後に止まった。

一体何の話だ。

一連の会話に、夜蛾が訝しげな顔のまま静止していると夏油が「要は、」と事の詳細を述べてくれた。

「悟の無下限呪術を貫通したんです。浮いたんです私達。恐らくそれは可借夜先輩の術式だとは思うんですけど、悟の無下限呪術を前にして可能なんですか？そんな事」

そして、それはたかが学生レベルが成せることなのか。

夏油の言葉を聞き遂げると、夜蛾はため息を漏らし「アイツ、いつの間にそこまで出来るようになったんだ…」と呟いた。

というと？
と、夏油の目が言っている。


「A先輩は、この世の引力を好きなだけ操れる術式…そう言ってました」


ふと、硝子が呟く。

「え、硝子もう下の名前で呼んでるのかい？いつの間にそんな仲良くなったんだ…」

「お前らみたいに下心丸出しじゃないからな」

「ははは、心外だな」

爽やかに笑う夏油だが、顔の影が濃い。
図星。

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