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199:ギャルと____、 ページ49

帳の向こうに呼びかける。
Aはそこにいる。間違いなくそこにいる。

少しの焦りに心臓をどくどくと脈打たせ、五条は言葉が返ってくるのを待った。

さほど時間を開けず、「悟…?」といつもの声が返ってきた。

「そう、僕だよ…!A、今凄い音したけど無事か!?マジで無理すんな、っつーか出てこい…!」

「…そりゃ無理っしょ、悟」

Aの自嘲気味な笑い声が聞こえる。

「私が出てきたら、誰が特級引き止めんのよ…私、自分で言うのもアレだけど結構強いんだから」

五条は息を飲み込んだ。
強いけど、強いと思うけど。
でも____。

「すげぇ…超意味わかんない、何これ。私、帳から出れないんだ」

その言葉に五条はギョッとして顔を上げた。


僕は入れなくて、Aは出られない。
この帳は、僕とAを対象とした帳……!


Aの言葉を聞き逃さなかった歌姫が、「A!」と帳の向こうへ声をかける。

「この帳、五条だけが入れないの!私と楽巌寺学長はすぐにそっちへ行くけど、でも時間稼ぎが必要で…」

五条が帳を破るまで。
特級を完全に祓うには、やはり五条の力は必要不可欠だ。

歌姫だってAに無理をさせたくない。
Aの呪いだって知っている。
けど、今手段を選んでいられるほど選択肢は多くない。

苦しい思いで出した言葉だった。

しかし、Aがそれを渋ることは無い。
いつもの明るく、且つ戦闘で昂っているからか調子のいい声音で「私にしか出来ねー仕事だな、任せろ」と返す。


あぁ、もうこんな時にクソ…


五条は焦る思いで今一度帳に触れる。
やっぱり自分は弾かれてしまうらしい。

自分がこの帳を破るのにも時間が必要だ。

布の奥で五条は固く瞳を瞑った。


そこに居るのに。
1枚を隔てたすぐそこにいるのに。
どうして顔を見ることも出来ないんだよ。



こんなにも近くて、遠い事があるかよ



「悟」

その時、Aが五条を呼んだ。

「そこに居るんでしょ」

五条はゆっくりと顔を上げる。


「私さ…漸く分かったんだよね」



きっと、目の前にAがいる。
きっと、目の前に悟がいる。


見えないけど、でも絶対にそこにいる。


「近いのに、無限に遠い。絶対に触れられない。それって、この帳と一緒なんだよね」



悟は、こんなの12年も耐えたんだ
私じゃ無理だ



Aが言った。
その言葉に、布の奥で五条の澄んだ瞳が見開かれた。



A、今…なんて……



「ねぇ、悟。後輩と先輩、やめようか」

200:ギャルと「すぐ行く」→←198:ギャルと帳を



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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時

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