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198:ギャルと帳を ページ48

____。

空を見上げると、墨をぶちまけたような黒い液体が宙に広がり始めた。

「五条、”帳”が降りる前に…!」

「僕だって、出来るもんならそうしたいっての」

地を走る歌姫に返す。
後ろからは、楽巌寺が。

五条は歌姫に返し、口の中で苦虫を噛み潰した。


電話に出たのは真依だった。
『可借夜さんが言うには、特級二体の侵入だって。…一体を祓うのに集中するから、もう電話には出ない』
だから、偶然居合わせた私に飛んできたのだと真依は言った。


A嫌いの真依が渋々と協力している。
ということは、相手は協力せざる終えない相手。
Aに死なれては不味い。Aにしか対応できない。


クソ、クソ…ッ


もう、Aが泣かなきゃいけないような結末だけは迎えさせたくない。


五条は屋根瓦の上から降り立ち、帳の前で止まった。
黒くぬっとした、それはまるで影を固めたような壁。

悔しいが、この帳の張り方上手いな

「言っておくけど、僕は今機嫌が良くない。手荒な真似されても、文句は言えないよ」

五条は低く言うと、帳に片手を翳した。
破ればいいこの程度。
ひた、そう思い触れた途端だった。
掌に突如電流が走り、というか弾かれ五条は咄嗟に手を離す。

五条はあからさまに眉を顰めた。

「ちょっと……何でアンタが弾かれてんのよ」

隣を見れば、自分とは違い帳の中に手を入れている歌姫が居た。
訝しげな顔でこちらを見つめ、五条は「なるほど」と小さく笑った。

関心とかではなく、もっとムカついたものだ。
へぇ、やってくれる。

「歌姫、おじいちゃん。先に行って。これは、特定個人を拒む結界だよ」

よほど腕の立つ呪詛師が居るな。


言いかけた途端だった。


五条の目の前。そう、帳の奥で激しい音が鳴り響いた。
帳の壁に何かがぶちあった音。


帳にぶちあたる…?
僕だけを拒むんだから、出入りは可能かと思ったんだけど。


何かが当たれば、ごろんとこちらに転がり出てくるかと思っていた。
しかし、どうやら違うようだ。

「…何今の、中で何が起こってんのよ」

歌姫は顔を顰める。

すると、中から次は声が聞こえた。


「ふ、ざけんな…上着ズタボロにしやがったあのバケモン呪霊…ッ!!」


如何にも不機嫌な声音。
帳の外に居た三人は顔を見合せた。
そして、いの一番に何者かを察した五条が声をかける。

「A!?そこに居んの!?」

というか、無事なのか。

あの音はかなり激しくぶち当たっている音だった。

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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時

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