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153:ギャルと魂の差 ページ3

Aが振り向いた時には、真人の腕は完全に変形をしていた。

無数の棘が付き重そうで堅そうな。
まるで鈍器だ。

真人の口が三日月を描き、Aへと振りかぶった。


瞬間。


見慣れた鉈が真人の腕を弾いた。
斬られる寸前で回避した真人は、後方へ飛び退き距離を取る。

「…、」

Aは彼の姿に息を呑む。

気怠げなため息を吐き、Aの横に立つスーツの男。

「ナナミン…!」

悠仁が彼を呼ぶ。

七海は体勢を立て直すと、Aへ「Aさん、冷静に」と告げた。
Aは不服そうに、しかし七海が来なければ致命傷だった事を思い直し、静かに「…ごめん」と返す。

「いえ、問題ありませんよ」

「…うん」

七海はこの時点で、きっと状況を察していただろう。

「二人共、説教はあとで」

「私もかよ」

Aは、うげと顔を歪める。
先ほどよりは、怒りが治ってきた。
怒りはあるが、我を忘れるほどじゃない。幾分か冷静だ。

「あのままだと貴方、完全にキレていたでしょ」

確信をつかれ、Aは目を逸らした。

「私では止められませんよ、貴方がキレたら」

Aは唇を尖らせる。

「虎杖君、現状報告を」

七海が悠仁へ促すと、Aも悠仁を見た。
また彼は辛い報告をしなくてはならないのか、と。

「二人、助けられなかった」

「…君の体は?」

「俺は平気。いっぱい穴空いてっけど」

「それ平気って言わんでしょ」

Aが突っ込む。
そして、悠仁の報告から生徒の身はとりあえず安全な事がわかった。
しかし、それもこれも継ぎ接ぎの呪霊をここで食い止めればの話である。

最悪の展開は、全滅し、生徒全てを改造される事。

「早急に祓い、」

七海は突然言葉を詰まらせた。

真人の鼻から、血が伝っている。

「二人共、あの鼻血は?」

七海の問いに、他二人も鼻血へ目を向けた。

「いや…私が殴った時には、もう出てたかな」

「じゃあ、俺か。俺が殴った時」

「いつ」

「え?…一番最初」

「奴の手には?」

「触れたよ?」

Aは互いの会話を聞き、ふむと顎を撫でた。

「なるほど、感覚戻ってきた。私と悠仁には、大きな違いがあるね」

そう、その違いこそ呪霊を祓う鍵なのだ。


悠仁は、宿儺を完璧に受肉している。要は、魂が完全にリンク状態にある為、真人を確実に殴れるし術式も効かない。
逆に、Aは憑かれているだけ。
だから、真人がAの魂に辿り着く事はできないものの、Aが真人を確実に殴ることもできないのだ。

154:ギャルと廻戦→←152:ギャルと冷めやらぬ



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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時

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