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167:ギャルと知られざる ページ17

「ナナミン、正しい死って何?」

答えが欲しかった。
誰かに答えを導き出して欲しい。

しかし、七海が答えを導き出す事は無い。

「そんな事、私にだって分かりませんよ」

この世界で正しい死を迎えられない者はごまんと居る。
だからといって、結論から言えば死因が正しかったかどうかなんて誰にも判断が出来ない。
あの人の死は正しかったなんて決めるのは、正直その人間のエゴでしかないのだ。

それでも、悠仁は七海に求めるような目を向けた。
彼の目に、七海は参ったなとため息をつく。

「こういうのは、Aさんの方が得意なのですが…。君が目指すような正しい死への線引きは、それが善人にしろ悪人にしろ辛くて厳しい道が待っています。………Aさんも昔、虎杖君の様な考えを持っていました」

「え…?」

「助けられなかったんです。君と同じくらいの時に、あの人は友人を失いました。同級生で、この世界に入り初めての友人だった…Aさんはそう言ってました」

七海は目の間を揉む。
この話は昔々にAから聞いた。
それも、この同じ安置所で。七海が2年の時、親友を弔いながら二人で会話した。

「友人は、呪詛師だったそうです。のちに判明しました。呪術師を恨む…というか、世界そのものを憎んでいた。Aさんと友人になったのも、実は彼の計画に組み込まれていた事でした」


呪詛師の青年は、Aと友人になる事で当時彼が起こしていた罪をあたかもAが行ったようでっち上げた。
Aはその頃、上層部に信頼なんてものはハナからなかったので彼の計画通り犯人となってしまった。
一時は、規定違反だと処刑までされかけたらしい。


それでもAは、彼を友達だと思い疑わなかった。
自分が正しく導く。


Aは、呪術界全てを敵に回してでも彼を助けようと動いた。


「それで、どうなったの?」

悠仁が尋ねると、七海は力なく首を振った。

「助かりませんでした。正しく言えば、死闘の末殺す以外の選択が無かったそうです。初めて人を殺した瞬間だった…そう言ってました」

悠仁は息を呑み込んだ。
Aにも、そういう時代があったんだ。
初めてが友人だなんて、きっと自分は耐えられない。

「Aさんはその出来事で一級にまで昇りましたが、未だに納得していない」

友人を殺してしまい、それで実力が認められるなんてこの世界は腐っている。


だからAは、呪術界を壊す事を選んだ

168:ギャルと地獄の底へ→←166:ギャルと安置所



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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時

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