検索窓
今日:3 hit、昨日:28 hit、合計:313,932 hit

163:ギャルと魔物 ページ13

悠仁と触れた事で、Aに憑いた呪霊の生得領域と宿儺の生得領域が結ばれあった。だから、目の前のような事が起こっている。


そこはまさに、魔物の巣窟。


Aは、生唾を呑み込んだ。
何度も対面したことはあるが、あの得体の知れなさは慣れない。
人じゃない分、宿儺よりも恐怖を感じる。

知能も等級も高い呪霊なのだろうが、奴は喋らない。
静かにただじっとこちらを見ているだけ。
それがより恐怖を煽る。
あの穴のような瞳を眺めすぎると、精神がおかしくなりそうだ。

宿儺は顎を撫でる。


「俺がやる…までも無さそうか」


言った途端だった。
真人の肩から凄まじい程の血飛沫があがる。
まるでスプリンクラーのように。

肩にかけられていた鉤爪が、真人の肩を勢いよく裂いたのだろう。

七海は思わず自身の肩を摩った。
なんて力だ。鉤爪を引くだけであの威力。
あの五条悟が手も足も出なかった理由が漸く分かった。



得体が知れなさすぎる。
何を持ってして生まれたのかすら分からない。



真人は血飛沫の量に肩を抑え、ガタガタと震える。
後ろ目で漸く呪霊の姿を垣間見た。
穴のような瞳で、こちらをじっと見下ろす。

なんだコイツ、なんなんだよコイツ。

誰もが呼吸を忘れている中、宿儺だけが平然とした様子で横に居たAに話しかけた。

「小娘。お前、随分酷い傷を負っているな」

言われ、すぐに判断出来なかったものの、我に返り自身の片腕を見る。
妙な方向に曲がった腕は、もはや痛いのかどうかすら分からない。

「やったのは奴か?」

宿儺は真人の方へ顎をしゃくった。
何故、彼がこんな事を聞くのかも分からないままAは曖昧に頷く。

すると、宿儺はため息混じりにAの前にしゃがんだ。

「全く、世話が焼けるのも変わってないのか」

折れた片腕に宿儺が触れる。
数を数える暇もない速度で、腕は急速に元へと戻った。

なんて速度の反転術式…

Aは呆気に取られたまま、完治した腕を動かしてみる。
寸分の狂いもない。

「なんで、」

Aが尋ねるよりも前に、宿儺は立ち上がると「さて、」と呟いた。
彼が瞳に映すのは、血飛沫を撒き散らす真人。

「先程ので充分だと思ったが……気が変わった」

宿儺は鋭い顔つきになると、徐に指を振る。

「もう一発浴びせといてやろう」

瞬間、真人は傷を負った反対側の片方からも血飛沫を噴かせた。


領域が砕けると同時、宿儺と正体不明の呪霊は姿を消した。
彼らの前に、元の景色が戻る。

164:ギャルと祓う→←162:ギャルと神の怒り



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (314 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
920人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑 , 五条悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。