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162:ギャルと神の怒り ページ12

Aも七海も真人も、彼の侵入を瞳に入れ唖然とした。

あぁ、そうか

Aは口の中で呟く。

領域は、閉じ込めることに特化した結界だから
だから、外側は弱い


目の前に悠仁が飛び込んでくる。
Aは呑気にも、ラピュタにこんなシーンあったよななんて思ったが、アレはもっと大人しく落ちてきた。

目の前に落ち……………


「え?」

「ごめん、A受け止めて!!!」

「ええ!!?」

いや無理、私腕折れてる!!
なんて、言う暇もなく悠仁はAへ飛び込むよう落ちてきた。
Aとぶつかる3秒前。

驚きに間抜けな面をしたAと、焦る悠仁の視線が絡まった。
Aが領域に取り込まれる前も、こうやって彼と視線が絡まったはず。
あの時と一緒だ、Aが思った瞬間だった。


彼とAがぶつかり、地を転がる様はまるでコマ送りのように真人と七海の目に映った。
そして、コマ送りが最後のコマを彼らに見せたその時、“もう一人”が現れたのだ。


悠仁は、ぎゃっという短い声と共に牛の頭蓋骨の山に身体をぶつけた。

七海は、その山に悠々と座る男を前にして息を呑み込んだ。
いや、それだけではない。
かなり雑な扱いであったが、男が脇に抱えているのはAであった。

「また随分…お前は自分の身体の強度も知らんのか」

やれやれ、男___宿儺はため息混じりに、Aを抱えたまま地に降り立った。

そして、Aを傍に降ろすと真人へ向き直る。

「貴様、小娘に触れたか」

真人は答えられなかった。
圧迫感というのもあったし、宿儺の問いに頷く事も否定する事も出来ないというのもあった。
けれど、それよりも、真人はこの領域が開かれた時点でずっと感じていることがあった。


自分の後ろに____何かいる。


真人が恐怖を抱く事は今の今までそうなかったが、今は確実に恐怖を感じていた。

宿儺にはそれが分かっている様子で、嘲笑的に喉を鳴らし笑う。

「相当…怒らせたようだな」

無論、真人の後ろが見えている七海と悠仁それにAは“何か”が見えていた。

真人の肩に掛けられていたのは、真っ黒で鋭利で太い鉤爪三本。
後ろから、ソレは首を傾げるようにし顔を出していた。目はポッカリとくり抜かれ、どこまでも深い穴のようだ。
真人を見ているのかすら分からない。

七海と悠仁は、ソレと対面するのは初めてであった。
こんなにも得体が知れず、恐ろしいとは。
言わずとも分かる。



アレは、Aに憑いている呪霊だ。

163:ギャルと魔物→←161:ギャルと遺言



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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時

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