196:ギャルと赤子 ページ46
『落ち着きなさい。貴方の相手は、私じゃありません』
「あぁ?直接脳に語りかけんな、日本語喋らねーとその口からぶちのめすよ?」
口いらねーじゃん?
Aはチンピラの如く表情を歪め言葉を吐く。
「こっちはなぁ、勝手に脳みそ弄られて気分悪いのなんのって____、」
ハッとし気づいた。
Aは言葉を辞め、視線を横にずらす。
肩の位置。
爪の長い、獣のような手が掛けられている。
「マン…マ…、」
赤子の声。
棘の顔を垣間見ると、唖然としていた。
Aの背後に目を向けて口を半開きにしている。
何かいる。
その時初めて、Aは増え続けていた木の残穢を見た。
あの花畑野郎の残穢じゃないのは分かっていた。
この残穢は、コイツは…!!!
得体の知れない気配は、元から花畑野郎のじゃなかった…!!!
『遊ぶだけですよ____アオイ』
「棘ッ、今すぐここから逃げ____、」
Aが棘に向かって叫んだ途端、後ろから顔面を掴まれた。
「はぁ、い……マンマ…」
呪霊の声が聞こえたと思った瞬間Aは勢いよく体をぶん投げられた。
木々を幾つも破壊し、野球ボールみたいに投げられた。
漸く体が止まった時、そこには白い呪霊と謎の呪霊それと棘の姿はもう見えなかった。
代わりに居たのは、真依と真希だ。
真希は佇み、真依は傷だらけで木の下に座り込んでいた。
二人は突然現れたAの姿を前に、驚いた顔を向け暫く唖然としていた。
心做しか、真依の目に涙が浮かんでいたが今はそれを尋ねる余裕はない。
「何…してんだ?A…」
幾ら18歳の体で止まってるとはいえ、いい歳なんだからはしゃぐなよ。
真希がいつもの調子で言う。
しかし、Aがおどけて返すことは無い。
粉々に破壊され折れた木の幹から体を気だるげに持ち上げ、親指で鼻下を擦る。
最悪だ、鼻血出てる。
「ちょっと、あの人の様子…可笑しいんじゃない?」
漸く気づいた真依が言った。
「可笑しいって、割といつもだけどな」
でも確かに。
真依の言う通りかもしれない。
いつもよりも殺気立ってるというか。
「双子、」
低く呼ばれ、二人は目を丸くし顔を合わせた。
Aが二人を纏めて“双子”と呼ぶなんてそう無い。
ゆらりと立ち上がるAは、二人に目を向けることはなかった。
ただひたすらに、自分が飛んできた方向を鋭い視線で見つめ続けている。
「どっちか外部に連絡しろ、未登録の特級呪霊二体が高専内に侵入した」
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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時