232:なんでも知ってる ページ34
Aは隣のゴンを見て、両頬杖をつきながらプラカードを掲げた。
「『アイツの悪い癖教えてあげようか』」
「え…!」
文字を読み切り、ゴンはウサギ頭を見た。
そんなのあるのという気持ちと、なんでウサちゃんが知ってるのという2つの気持ちを含め。
相変わらず巫山戯た顔のウサギ頭は、至極真面目に次のプラカードをみせた。
「『アイツは基本自分が1番強いと思ってるし、現に強い。ゴン君なんか、けちょんけちょんダヨ』」
彼の額に指を弾かせると、ゴンは「あいてっ、」と額を抑える。
「『その代わり、強いと自負しているからこそ狩る瞬間逆に自分が狩られるかもなんて思ってない。というか、狩られたとしても負けないと思ってる』」
「えっと…それって…どういうこと?」
ゴンは顔を難しそうに歪めて腕を組む。
今にも頭から煙が出そうで、Aはふっと笑い「『もうすこし砕いて言おうか』」と掲げた。
「『熊が川辺で魚を獲る時、狩人に狙われてるというのを察知していると思う?』」
「難しいと思う」
ゴンが言うと、Aは「『そういうこと』」と一言見せた。
ゴンはあからさまに顔を顰める。
そういうことってつまり………どういうこと?
ぐぬぬ、と顔を顰めゴンは遂に煙を登らせた。
Aは着ぐるみの中でふふと笑い、「『後は自分で考えてごらん』」と返してやる。
ふと、ゴンが難しい顔を持ち上げた。
「どうしてウサちゃんはヒソカに詳しいの?」
Aは思わずパチクリと瞼を瞬かせた。
詳しい。いや、そうでもないと咄嗟に思ったが、考えても見れば自分は三年前よりも随分ヒソカという人間を知っているような気もする。
悪い癖も、嘘をついた時の顔も、機嫌が良い時も悪い時も、素の顔も、人並みにだらけている時も、寝顔も。
私は知ってる。
うわ…
想像以上に私って、ヒソカ君の事知ってるんだ
そうか
そう
Aはプラカードを見せた。
「『そんなつもり無かったんだけどネ』」
ゴンはこてんと首を傾げたが、Aがそれ以上何か反応を見せることは無かった。
後ろ手にひらひらと手を振り去っていく。
ゴンがウサギ__Aと別れ、暫く時が流れた。
川辺に居た鳥が魚を獲るのを見て、ゴンは遂にAの言葉を理解した。
そして、鳥を釣竿で引っ掛ける事を会得したのだ。
「分かった、ウサちゃんの言っていた事が分かった…!!」
279人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» し、した…!!!って感じですよね…!絶対無茶苦茶な会話してますよ…おわーーテスト頑張ってください;;テスト明けいっぱい楽しめるよう、沢山お話作っておくので…!いつも応援されている身なので、今回ばかりは私が応援を!頑張って!! (2021年5月28日 19時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ポテト - きゃーーーー(/ω\)キャー〜ついに、ついに、キッッッッッッッッスですか。確かに、早く旅団との絡みもみたい(*´-`)クロロと4人での会話なんて、めちゃくちゃテンション上がりますo(*≧∀≦)ノただ、テスト期間なのでこれからコメントするのが、少なくなりそうです(..) (2021年5月28日 16時) (レス) id: 6f62e33b14 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» そうなんですよね…!意外と真面目な戦闘シーンって無くて、今後もちょくちょく出てきます…!たまには2人とも動ける人なんだから、目一杯動いてもらいたくて! (2021年5月26日 23時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ポテト - ヤバイ、かっこいいぃぃぃぃ\(^-^)/ヒソカとの真面目な戦闘シーンって、今までなかったからすごく興奮しました(*´-`)『その時…』って何があったのぉぉぉ (2021年5月26日 19時) (レス) id: 6f62e33b14 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» 絶対2人に「それは無理がある」って言われるけど、「は?」って言って黙らすんだろうなと書きながら思いましたね笑数話殺伐とした内容が始まりますが、殺人鬼と暗殺者の真骨頂だと思うのでお楽しみに…!!! (2021年5月24日 22時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年4月14日 1時