彼が消えて早5年。今私は...5【安室透・降谷零】

191.side降谷 ページ33

幸せな時間ほどあっという間に過ぎてしまうもので。









Aと笑い合い、穏やかな時間を過ごしていればすぐに仕事に戻らなければならない時間がやってきた。








「Aの検査は9時からだから、あと1時間位はゆっくりしていて？俺は仕事だからそろそろここを出る。」







そうAに話をすれば、「わかった。」と返事が返ってきた。









寝ている3つ子を起こさないようにそっとその場を後にしようとすれば、ん...？？という声と共に透流が薄く目を開ける。








「とうさ...？？」









目を擦りながら俺を探すその声に、近寄って額にキスを落とした。









「俺ならここにいるぞ。...眠いだろ？まだ寝ていていい。」









優しくそう声をかけ頭を撫でてやれば、透流はすぐにまた夢の世界へ戻っていく。









寝たままの郁流と澪にも同様に額にキスを落として撫でてやれば、郁流はくすぐったそうに身をよじってからふにゃりと笑った為、それにつられて俺も笑顔になった。









澪はと言うと、俺が触れてもピクリとも動かない。
昨日ベッドに寝かせてからほんの少しも動いていない様子に少し不安を覚えるも、特に大きな問題は無いという医者の言葉を信じ、もう少し様子を見る事にした。









「じゃあ、俺は行くな。」








3人全員に同じことをして、掛け布団を掛け直してから、くるりとAの方を向いてそう口にすれば、Aは笑って入口まで見送ってくれた。









「行ってらっしゃい、気をつけてね？」







「あぁ、いってくる。」









心配している事が顔に出ているAを安心させるように笑い、子供たちと同じように額にキスをしてからくしゃりと頭を撫でてその場を離れる。









少し行った先に風見が待機しており、これから行う粟沢への取り調べの内容の確認を行いながら、実際に粟沢の待つ部屋へと向かう。









粟沢...







会いたくねぇな。

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