彼が消えて早5年。今私は...5【安室透・降谷零】

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零に連れられて入った病院では、あっという間に手続きが終わって澪の入院が決まっていた。





主治医の先生曰く、外傷は殆どない為目が覚め次第検査をして退院できるらしい。









使うことになった澪の一人部屋は、机やテレビもあり、普通のリビングとさして変わらない広さだった。




私も明日検査を受けることになった為、そこに簡易ベッドを2つ持ち込んで今日は一家揃ってそこに泊まって欲しいと頼まれ、了承する。





疲れていたのか、車の中で寝落ちしていた郁流と透流をそれぞれベッドに寝かせ、今日は家族といて下さいと部下に言われたらしい零は、透流の方、私は郁流の方のベッドに入り、眠りについた。




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朝、目を覚ますと机に向かって何やら作業をしているらしい零の背中が目に映った。








「れ、い...？？」






目をこすりながら名前を呼べば、零はこちらを振り返ってふわりと笑みを浮かべる。







「おはよう、A。体は？」





ペンを置いて立ち上がった零は、こちらに歩み寄ってきて、私が上半身を起こして座っているベッドの縁に腰掛けた。





「大丈夫、なんともないよ。」





笑顔を向けてそう答えれば、笑みを深くしてそっと、労わるように頭を撫でてくれる。





その動作が心地好くて目を細めれば、頭を往復していた手はそっと頬に添えられ、蕩けるような笑みを向けられた。






「よかった。...本当に、よかった。」






小さくそう呟いた零の手が少し震えていて。






私は思わず頬に添えられた手を両手で包み込んだ。





「ありがとう、零のおかげだよ。零がいるから、私も3つ子も頑張れる。...大好き。」





目を伏せ、思いが少しでも届くようにと心を込めて言葉を紡げば、零がそっと近付いてくる気配がした。







そのまま距離を詰められ、唇が重なった。





すぐに離れた零は、私を確認するように瞼や頬、鼻の先など至る所にキスを落としてくる。






くすぐったくて身をよじれば、肩を引かれ腕の中に抱き込まれて身動きを取れなくされた。





そのまま角度を変えて唇に何度もキスを落としてくる零は、しばらくして満足したのか不意に額を合わせ目を見つめてくる。








「本当に、お前って奴は…」






最高だな。







そう言って笑う零につられて、額を合わせたまますくすくと笑いあった。

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