024:ギャルと春雷 ページ24
ふと、七海が黙って待っていると、暫くして声がピタリとやんだ。
ドアアイから覗けば、その人の姿はもうない。
あの諦めの悪い人が…
案外早かったな。
七海は安堵の息を漏らし、靴を脱ぎかけた。
これで、今日も安心して休息を____
思った矢先、七海の耳に殴るよう飛び込んでくるのはインターホンの連打。
ピンポンピンポピンポーン!!と、それはもう破壊せぬばかりに鳴らされ、思わず七海はずっこけそうになる。
額に青筋を浮かべ、再びドアアイから覗くと
「つまらぬものですが〜〜」
酒瓶掲げるAが一人。
それも、なんとお高く希少価値の高い銘柄なことか。
「…クソッ」
七海は声を漏らす。
渋々扉を開けると、許可してもいないのにAが入ってきた。
「七海なら開けてくれると思いました〜!私、七海のそういう素直な所好きよ〜」
「嬉しくないです。」
言うと、Aはケラケラ笑いながら「嬉しがっとけよ」と返してきた。
”呪い”のおかげで、昔と変わらない見た目をしているのだろうが、どこかそれが懐かしく心地良かった。
勿論、そんなことを本人には言わないのだけれど。
____。
「今年の一年は去年と比べて枯れてんの〜??」
入学した春。
その人は突然教室にやってきた。
「去年は『ギャルいるぜ!』って見にきたんだけどな」なんて言いながら、その人はズカズカと教室に入ってくる。
爪長いし、パックジュース飲んでるし、制服ちゃんと着てないし。
一眼で苦手なタイプだと察する。
「今年は少ないねぇ。ま、私の時よりはマシか!入学して早々私以外停学になったんだもん、超ウケるよねー!」
なんだこの人。
「こんにちは、僕灰原雄です!おっきいですね!!」
「はいこんにちは、灰原君、どこ見て喋ってんの?胸見て喋ってんの?そこに顔が見えんのかな??」
「こっちは七海です!七海建人!親友です!!」
「灰原君人の話聞かないって言われない?音量調節機能壊れてんのかな、声デカイね!!?」
いや、二人共煩い。
眉間に皺を寄せていると、「ほぉ〜どれどれ〜」とその人が近寄ってきた。
「…はじめまして。」
あんまり馴れ合いたい人では無かったので、短く終わらせる。
すると、何がどうしてそうなったのか、その人は目を輝かせ私の頭をぐしゃぐしゃと掻き混ぜ言った。
「ふてぶてしさがウチの弟そっくり!超可愛いんだけど!!」
以降、私と灰原はAさんに気に入られてしまった。不覚にも。不覚にもですけど。
2898人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鼻毛太郎(プロフ) - 麗華さん» コメントありがとうございます!🙌うん億年前に書いたイラスト、そういえばあったなとコメントで思い出しました笑刺さったようでとても嬉しいです🥺まだまだ長く続くシリーズ、ぜひお楽しみ頂けたら幸いです! (8月17日 12時) (レス) @page49 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
麗華(プロフ) - 夢主ちゃんの過去編からみてイラストを見ましたがめちゃどタイプです………これからも応援してます〜! (8月17日 9時) (レス) @page49 id: bc106b5b68 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 美咲さん» コメントありがとうございます…!凄く有難いお言葉頂けて感激です😭😭長く続くシリーズ作品ではありますが、ぜひ今後もお付き合い頂けると嬉しいです…!!🌸🌸 (2022年1月2日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 話の構成がしっかりしててそれぞれの物語があってこんなに面白くて読みやすくて引き込まれる作品は初めてです…!!素敵な作品をありがとうございます最高です!体調にはどうかお気をつけて!! (2022年1月2日 0時) (レス) @page49 id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - yuuna1202さん» ありがとうございますーー!!;;今後もギャル先輩と後輩悟くんの二人を是非見届けてあげてください…! (2020年12月9日 20時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年11月18日 23時