034:ギャルとブチ切れ ページ34
巻きたつ土煙を、Aは片手で薙ぎ払う。
その腕には手首から肩にかけ、びっしりと紋様が刻まれていた。
破れたのは、衣服の左袖だ。見ると、ノースリーブのように千切れている。
やっぱり…、進行してる。
特に、去年の”百鬼夜行”のウェイトがかなり大きかったんだろうな。
五条が最後に見た時は、肘下程度しか紋様は刻まれていなかった。
「私さぁ、」
呪霊の方へ歩を進める中、自身の道を塞いでいた瓦礫を蹴り飛ばす。
一体その細い足の何処にそこまでの脚力が、と思わず思ってしまう五条。
「自分の服と顔面傷つけられんのが、生きてて一番許せねーんだよね。」
特に、と続けるAが拳を握りしめる。
呪霊はAに襲い掛かろうと走り出していた。が、しかし。
Aの冷酷で無慈悲な瞳を見て、後退りを始める。
この呪霊にとって、この感覚は初めてだった。
今自分は、目の前の人間に『恐怖』を感じ始めている。
「このスーツ一張羅だぞ、歯ァ食いしばれッ!!」
呪霊の中心向かって繰り出される拳。
その拳に乗るは、呪力の塊。
ど真ん中ストレートに喰らった呪霊は、今日一番にぶっ飛び窓ガラスを突き抜け外へ飛び出る。
その光景を五条は面白そうに眺めながら、「あ、」と呟く。
「今度、Aに悠仁を鍛えてもらおうかな。」
いいかも。
近接で肉弾戦だけなら、呪術界を見ても右に出る者は殆どいない。
過去に、七海と組手をした際には、同じく近接型でパワーも体格差もある七海を尻に敷き「勝っちゃった♡」なんて呑気に言っていた。
それで、「私の術式、七海と超相性悪いの!あんなん喰らったら、私でも死ぬっつーの!」と言っているんだから…
「嘘ばっかしなのはどっちだっての」
外に出たのを良いことに、このまま逃げ出そうとする呪霊。
しかし、Aが許すわけがない。
彼女は柔らかく笑って、声をあげてみせる。
「無理無理、私とお前は真っ直ぐ引力の線で結ばれてんだから。こっちに……来いッッ!!」
同時、呪霊の体はAの目の前まで引き寄せられ、そしてサッカーボールが如く蹴り上げられる。
激しい音と共に、呪霊は破裂した。
任務完了。
「派手にやったねぇ、先輩」
「ムッカつく!上と会議だから、態々スーツ着てきてんのにさぁ!?」
合流した五条の胸ぐらを掴み、力任せに揺さぶる。
五条はされるがままに揺すられ、「やめてー、脳味噌シェイクされちゃうー」と間延びした声を上げる
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鼻毛太郎(プロフ) - 麗華さん» コメントありがとうございます!🙌うん億年前に書いたイラスト、そういえばあったなとコメントで思い出しました笑刺さったようでとても嬉しいです🥺まだまだ長く続くシリーズ、ぜひお楽しみ頂けたら幸いです! (8月17日 12時) (レス) @page49 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
麗華(プロフ) - 夢主ちゃんの過去編からみてイラストを見ましたがめちゃどタイプです………これからも応援してます〜! (8月17日 9時) (レス) @page49 id: bc106b5b68 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 美咲さん» コメントありがとうございます…!凄く有難いお言葉頂けて感激です😭😭長く続くシリーズ作品ではありますが、ぜひ今後もお付き合い頂けると嬉しいです…!!🌸🌸 (2022年1月2日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 話の構成がしっかりしててそれぞれの物語があってこんなに面白くて読みやすくて引き込まれる作品は初めてです…!!素敵な作品をありがとうございます最高です!体調にはどうかお気をつけて!! (2022年1月2日 0時) (レス) @page49 id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - yuuna1202さん» ありがとうございますーー!!;;今後もギャル先輩と後輩悟くんの二人を是非見届けてあげてください…! (2020年12月9日 20時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年11月18日 23時