019:則天去私 ページ19
母親が強いかどうかは知らない。
確認する前に、母親は死んでしまったから。
けど、夜蛾の言う通りなら母親は凄い人だったはずだ。
だって、特級呪術師だって夜蛾が言ってた。
その人の手伝いをしてたオッサン。
オッサンは見えなくても、術式を使えなくても、呪術師じゃなくても………。
オッサンは私の言葉を聞いて、口元をまた吊り上げた。
「あぁ、強い」
謙遜することなく、オッサンは当たり前のように言った。
いつもなら、「はい嘘〜」と言ってるんだけど、今日のオッサンは違う。
オッサンの目をじっと見る。やっぱり、嘘はついてない。
私はその場ですっと立ち上がった。
「オッサン、私を強くして」
「…はぁ?めんどくせーよ」
「なんで!!」
眉を八の字にし、眉間に皺を寄せて。
いかん、私にしてはあまりにも子供っぽすぎたかもしれん。
オッサンはごろりと寝そべりながら、「めんどくせー」と繰り返した。
「理由言えよ、オッサン。そんなんで稽古付けてくれないとか、私は納得できない」
「俺はそういうの向いてねーからだよ」
「やってみなきゃわかんねーじゃん!」
「大人になるとな、向き不向きが大体考えて分かんだよ」
そういうお願いは俺にするな、とオッサンは本当にそれはもうとてもとても面倒くさそうに、シッシッと私へ手を払った。
ムカつく。そんなんで、この私が「はい分かりました」って言うと思ってんのかね。
私、舐められんの一番嫌い。
あと、超諦め悪いんだよ。頭の辞書に書き込んどけ。
A様は、舐められのが嫌いで諦めが悪いってな。
「やだ。」
「やだ、じゃねーよ。駄々っ子かテメェは」
「じゃあ、駄々っ子でいい。駄々っ子でいいから、稽古つけろ」
「押し倒して泣かすぞ」
「やれるもんならやってみろ。泣いても私は駄々こねるぞ」
絶対意志を曲げない私に、オッサンはそりゃもうクソでかいため息を吐いた。
そして、頭を搔く。
「強くなりたい理由は?少年ジャンプの主人公みたいな理由だったら本気で泣かすからな」
オッサンの鋭い瞳が私を見た。
「自分が何も出来なくて誰かが犠牲になった時、私の中にストレスとしてそれは一生残るだろ。私、ノンストレスってのポリシーにしてんだよね」
分かる?と私はオッサンに言う。
「そういう後悔、私の哲学書には邪魔なんだよ」
オッサンは頭を搔く手を止め「それだけか?」と尋ねた。
「他に理由いる?それに、私自分の領域にあるものに手出されんのも嫌いなんだよね」
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時