014:伏黒甚爾 ページ14
「なぁ、おい。聞いてんのかァ?」
「…あー、うんうん」
あ、ここラインストーン取れてる。
家帰ったら付けなきゃな…
爪を眺めるA。
目の前には、男が三人。
路地裏で人の目を憚るよう並ぶ、その他の男二人。
計五人。
女一人に何人男呼んでんだよ。
Aは口の中で舌打ちをした。
「テメェの事ァ、忘れてねぇぞAッッ!!」
聞こえんだよ、声がデケェよ。
壁を背にし、Aは遂に舌打ちを音にして吐き出す。
「フラれたぐらいでガタガタうるせーよ。大体、中学の卒業式の話、何時まで引っ張ってんだよ」
「いい気になってデケェ口叩いてんじゃねぇぞ?俺の顔に泥を塗った事には変わりねぇよ」
バンッ、顔の横に手を付かれる。
空気がピリピリと張り詰めたことを察してか、周りに控えていた男達がゆっくりとそわそわし始めた。
ニヤついているのは、恐らく殴る蹴るをする訳ではないだろうからだ。
あー、私可愛いからなぁ
わざわざ絡まれるぐらいには可愛いしなぁ
けどなぁ、軽い女じゃねーし。
輪姦されるとか勘弁な。
Aはあからさまにため息をつく。
今日は遊び回って帰宅する予定だったというのに。
突然、知り合い_といっても、フッたフラれた程度の関係だが_因縁をつけられ、挙句路地裏で絡まれて。
まだ何一つ成し遂げられていない。
「女に泥塗られるなんざなァ、一番腹立つんだよッ!」
うるせーなぁ。
機嫌は最悪だ。
今の自分なら、夜蛾に死ぬ程扱かれているんだ。
この男達ぐらいなら何とかなるかもしれない。
なんてことを空で描いていたその時、突然ぐっと肩を抱かれた。
力強い手。
寄せられ、頬に胸板があたる。
鼻下を掠めたのは、よく知った匂い。
「誰だァ?テメェ」
絡んでいた男が片眉をあげた。
「テメェが誰だよ。俺の女に、なんか用か?」
口の端を釣り上げる、凶悪な面構え。
Aはその男を見上げると口を開いた。
「オッサン!」
「……A、お前なぁ。空気読んで状況合わせるぐらいしろ」
オッサンと呼ばれた男は、大きくため息をついた。
いやだって、なんでアンタが……思っていた矢先、Aはハッとし「っつーか!」と声を大きくあげる。
「オッサン今私の事女って言った!?誰がアンタの女だよ、誰が!!」
「あーあー、お前助けた俺の算段が全部パァだよ、お前の言葉でな。いいや、お前の弱いオツムでな」
「あ゛ぁ!?」
オッサン。
通称、口元に傷のあるオッサンである。
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時