013:注意喚起 ページ13
「分かるな?この術式が規格外だというのは」
夜蛾の瞳が怖いので、Aはとりあえず頷いた。
本当はよく分かっていない。
「見たところ、お前の呪力は贔屓目で見ずに凄まじい。全く…本当に面倒なものを任せてくれた…」
最後の言葉は夜蛾の独り言だったのかもしれないが、Aはバッチリ聞こえていた。
下唇を突き出し、「あぁそうですかぁ」と自分にだけ聞こえるよう呟く。
「それをお前はコントロールせねばならない。術式を極めろ、とは言わん。死ぬからな」
さらりと夜蛾は述べる。
まるで、こっちが死ぬのは関係ないみたいな言い方に、Aはやっぱりコイツ腹立つわと思い直す。
「お前が、自分の周りを自ら壊しても構わんというなら、話は別だが」
大切な友人、家族、失いたくないだろ?
極め付けに言う夜蛾。
あまりにもそれが腹立たしくて、Aは「アンタだけなら構わないけどな」と嫌味ったらしく言ってやった。
険悪な空気を引き裂いたのは、授業終了を告げる鐘の音だった。
「うっし、授業終わり!私帰るわ!」
「あぁ、別に引き留めん」
夜蛾は思っていることは伝えたつもりだ。
Aに言っておくことは、今のところはない。
Aは夜蛾の横をルンルンとした足取りで抜け、出口までスキップしていく。
「そうだ、今日は寺の方へ帰るんだったな」
「そ!っつっても、寮も地獄家も地獄…今日は外で死ぬほど遊んで帰るんだ〜!!」
頬の横で両手を合わせ、極め付けにはくるりと一回転。
Aの姿がジャージでなく、制服のスカートであるなら綺麗に広がっていただろう。
Aは毎週金曜から月曜までは、実家の寺へ帰ることになっていた。
ただ単純に自宅が近いために降りている許可であり、友人も居らず寮の中で缶詰になっているAは喜んで毎週自宅へ帰っている。
「服買って、行きたかったカフェ行って、カラオケ行って、いっそ夜はピザ取っちゃおっかな〜」
夢の休日。
その最初の夜に向けて、思いを馳せるA。
寺から出てくるギャルも、届けようと来てみれば寺だという宅配も、想像してみるとなんだか不思議な光景だ。
思わず笑いそうになる夜蛾。ふと、外へ出て行こうとするAを呼び止めた。
「なんだよ、説教したりないことあった?」
「そうじゃない。少し、思い出したことがあってな」
「…?」
「…最近、呪術師のみを狙う呪詛師が出現している。気を付けろ。」
「呪詛師?」
「……呪術を用い人を殺める輩だ」
___。
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時