028:慧可断譬 ページ28
言われた尾道は、夜蛾とAを見比べると「わかりました」と頷いた。
そして最後に、Aへ「良かったですね」とにこやかな笑みを浮かべ言うとその場から去っていく。
自分に任務を与えられるとも思ってなかったA。
「私…一人で任務行けんの?」
「勿論、補助監督はつけるがな」
それでも、戦える者はお前一人だ。と夜蛾は付け足した。
「それに、任務に行くとなれば本格的にお前は呪力コントロールに専念する事になる。その体質を少しでも抑えられない限りは、この話も全て無しだ」
「やる!!やります!!何言ってんの、やらねーわけ無いじゃん!!!」
食い気味に夜蛾へ詰め寄ると、夜蛾は鬱陶しいとAを引き剥がした。
「目処は一週間。…やる、んだな」
夜蛾は一瞬『やるか?』と尋ねようとしたが辞めた。
Aの瞳を見ると、かなり意志は堅いように見える。
Aはパシ、と拳に平手をぶつけた。
「何度も言わすなよ。ギャルに不可能はねーっての」
ギャル舐めんな。
Aの怒涛の一週間が始まろうとしている。
___。
彼は今年、高専に入学する予定であったが、登校前日に無期限の停学を与えられた。
理由は、呪術により自身の家族を殺害した事が原因である。
呪術により一般人の殺害は、呪術規定に基づき処刑対象となるのが普通なのだが、今回の事例は少々複雑であった。
名取吉祥の家族は、全員が非呪術師であり彼のみが異端であった。
故に、15の歳まで彼を拘禁し続けていたのだ。
そして、高専という場所を見つけ漸く気味の悪い息子から解放される、と高専に明け渡す事にした。
心優しい青年だったのか、彼は人智を超えた能力を持ち合わせているのに家族に一切手をかけていなかった。
代わりに、彼の体は痣だらけではあったが。
だから、入学前に彼と面会した夜蛾は、彼がどんなに悲惨な人生を送ってきたのかを想像し心底腹が立った。
そして、登校前日に事件が起こる。
上層部は、勿論彼を処刑するべきだと声をあげたが、一部彼の人生背景を思ってか否定派も居た。
それに夜蛾は、あの青年が家族を惨殺したなんてどうにも信じれなかった。
そんな度胸があるようにも見えない。
議論の末、名取吉祥の処遇は異例の停学に留まった。
何よりも、その時は彼の身柄を上層部が確保しているというのが理由として大きかったのだ。
しかし、つい最近の出来事である。
名取吉祥が姿を晦ましたのだ。
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時