017:明快推理 ページ17
「いえ、僕楽しいです」
夜一は表情の変化が少なくて、無愛想な子だ。
友達いんのか?って思ったことあるけど、夜一は案外友達が多い。
ベタベタひっつくと、「姉さん、鬱陶しい」と嫌な顔をするところが可愛いと私は思っている。
夜一はいつも通り表情を特に変えずオッサンへ言うと、また会釈を一度して通り過ぎて行った。
オッサンは夜一の言葉を聞いて、「あっそ」と肩を竦める。
私達の間で、暫く沈黙が続いた。
いつもなら、軽口叩いたりどうでもいい話したりするんだけど、今日ばかりはオッサンは話しかけてこなかった。
きっと、私が口を開くのを待ってたんだと思う。
オッサンってさ、デリカシーないようで察しがいいんだよね。うぜー。
遂に、私が口を開いた。
「…呪術師って、何」
オッサンは何も言わない。
でも、絶対聞いてる。
「呪霊って、何」
尋ねる。
すると、オッサンは少し間を置いて口を開いた。
「…それ、俺に聞いてどうすんだよ」
オッサンが耳の中を掻く。
「俺が知ってるとでも?」
「嘘つき。知ってるくせに 」
横目でオッサンを見ながら言ってやると、オッサンがこちらに顔を向けてきた。
私も、オッサンに習って顔を向ける。
暫くオッサンと見合っていた。
まるで、どっちが早く視線を外すかの勝負みたいだ。
オッサンが私の瞳の中をじっと見ていた。
何を見ていたのか分からないけど、でも多分ここで視線を外せばオッサンは何も教えてくれない。
だから、私は意地でも外さなかった。
視線が外れたのは、オッサンが先。
大きくため息をついて外す。
「…参ったね。お前そんなに勘良かったかぁ?」
オッサンはいつもの口調で言った。
そして、ニヤついた笑みを浮かべる。
「どうして俺が知ってると思った?どう結び付けたか、まずそこから聞かせろよ。」
「2つある」
私はオッサンの目の前に指を2本立てた。
「1つ目は、私に引き寄せられてきた呪霊に対して特に驚いたことがなかった」
「オバケじゃなくて、ありゃ呪霊だってのは覚えたんだな。けど、それだけじゃ確信には至らねぇだろ。お前みたいに、俺が“オバケ”だって思ってる可能性だってある」
「2つ目。これは、確信。母さんの葬式に来ていたのは、仕事関係の人ばっかだった。母さんは呪術師……オッサンもその場にいた。……ってことは、そういうことでしょ」
私の言葉を聞くと、オッサンは「ふーん」と自分の顎を撫でた。
そして、「上出来だ」と私の頭をばしばしと叩いた。
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時