112:初めての五条クン23 ページ2
____。
「ふぅん、なるほど。ちょっときな臭くなってきたね」
携帯の灯りが部屋を照らす。
可借夜Aは、顎を撫でながら呟く。
「…言いてぇだけだろそれ」
ケッと吐き捨て、五条悟は不貞腐れたようかいた胡座の上に肘を乗せ頬杖を着いた。
懐から自身の携帯を取り出し、ぱかと開く。
ぼうと青白い光が五条の顔を照らす。
高専を出てから約五時間が経とうとしている。
例えば、ここに来るのが諸々を含め二時間としたら、この家に入ってからは三時間が経つわけだ。
時刻を見ても、外が夕暮れなのは分かる。
「…チッ、」
異変を感じて誰かから連絡が入っても可笑しくないのだが、この部屋は電波が狂っているらしい。
先程から、電波が立ったり圏外になったりを気紛れに繰り返している。
しかしそれ以前に______。
「……アイツはもう俺に連絡なんて寄越さねーんだろうな」
「五条クン、なんか言った?」
ずい、と突然顔を覗き込まれ、五条は持っていた携帯を思わず落としかけてしまう。
わたわたと五条が携帯を手の上で滑らせるのを、「わふ!」と鳴き声と共に犬が口で受け止め、五条に渡す。
「手おっきいんだから、ちゃんと携帯持ってなよ〜」
「誰のせいで…」
横から一丁前に声だけをかけてきたAに、五条はじとりと睨みを利かせた。
仮にも先輩で、女という立場でなかったら即ぶん殴ってるぞ。
犬はといえば、上手く取れたことを褒めて欲しいのか五条の前で何度かくるくる回ると、そのまま礼儀正しく腰を下ろした。
「…っ」
狼狽える五条に、辺りを調べ始めたAが「あれ、五条クン犬とか嫌いなの?」と声をかけてきた。
「…別に、嫌いじゃねぇよ」
ぽつ、零れ出た声にAは不思議そうな顔をする。
五条の伸ばした手は、犬に触れる直前で少し戸惑うような素振りを見せた。
そのあとは何事も無かったよう犬に触れ、首元をわしわしと撫でてやっていた。
今のは見間違いだったかとAは首を捻る。
「で、きな臭ぇって言うぐらいなんだから、何か分かったのかよ」
あぁ、そうだったそうだった。
五条に言われて、Aは思い出したと掌をぽんと打った。
本当にこれで一級呪術師なのかよ。
上の連中見誤ったんじゃねーのか?
五条は訝しげにAを眺めた。
「一旦状況を整理しよう。なんかその方が頭良さそうに見える」
「…」
もう何も言うまい。
五条は短く息をつき、Aの話を素直に聞くことにした。
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鼻毛太郎(プロフ) - ?さん» コメントありがとうございます!😭🤍強くてかっこいい傍若無人天上天下唯我独尊女ことギャル先輩、ぜひぜひ今後も彼女の活躍楽しみにして頂ければとっても嬉しいです!! (2月21日 18時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - ギャル先輩かっこよすぎます😿💖 続き楽しみにしております🎶 (2月21日 13時) (レス) @page16 id: 0c670390f5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん - ありがとうございます💗💗時間なんていっくらかかっても大丈夫です!!!ほんとありがとうございます🫶 (11月11日 11時) (レス) id: 0fb8342324 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ぴーまんさん» ぴーまんさん、改めてありがとうございます!🙌前回コメント頂いた際に知識不足でお答え出来ませんでしたので、ぜひこちら書かせて頂きます😭お時間少々頂きますが、暫しお待ちください…!短編で書かせて頂きますね…! (11月10日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん - リクエストすみません!🙇♀️🙇♀️無理だったら全然だいじょぶです👍🏻 (11月10日 15時) (レス) id: 0fb8342324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年10月21日 4時