577：ギャルと朔 ページ27
“死ぬなよ〜、直哉クン”
最後にそう聞こえたのは聞き間違いか。
「は…？」
狐にでも摘まれたみたいだ。
今の一瞬でどうAは消えたというのだろう。
困惑する脹相。
身動きの取れない直哉もそれは同じであった。
「あれ、二人だけですか」
背後から聞こえた声に、脹相は弾かれたよう振り向く。
気づけなかった。こんなにも近づかれていたのに。
その人物へ顔を向けるよりも早く、強烈な肘鉄が脹相の顔面に叩き込まれた。
乙骨憂太。彼が片手で引き摺ってきたのは、動かぬ虎杖悠仁であった。
「さすが、鋭いなAさん。気づかれないように来たつもりだったんだけど」
表情一切変わらぬ顔で言った乙骨は、まるで闇をそのまま引っさげてやってきたようにも思えた。
「辛そうですね、直哉さん」
乙骨が言うと、直哉は彼を見上げて睨んだ。
その睨みは乙骨に見下ろされた事への屈辱からか、はたまたAをみすみす逃すことになった苛立ちからか。
彼は、乙骨の言葉に答えようとしたのだが、口を開こうとすると代わりに吐き出されたのは言葉ではなく血液混じりの吐瀉物であった。
暑くもないのに汗が吹き出る。
胃がひっくり返ったように吐き気がする。
気持ち悪い。
苦しい。
わざとらしく言い残されたAの言葉が頭から離れない。
あの女…ッ、この『赤血操術』持ちが受肉体って知っとったな…！？
だから、あの自分の気が逸れた一瞬、脹相に乗じて攻撃せずに避けるだけにしたのか。
何から何まで上手のAにむかっ腹が立つ。
それでも、腹が立つだけで今の直哉にはどうすることも出来ない。
ただひたすらに苦しむしかない。
「治しましょうか？」
顔を上げると、目の前で佇んでいた乙骨が呪力が籠る片手を掲げていた。
「僕の反転術式は他人も治せます。だけどその代わり、虎杖君の死はあなたの口からも上に報告してください」
それから。
乙骨は続ける。
「Aさんがここに居たことも」
なんだか、今大事な夢を見ていた気がする。
目が覚めると、横には乙骨がいた。
辺りはすっかり闇に包まれていて、焚き火の暖かな灯りだけが唯一の光であった。
その暖かな灯りに乙骨の顔が照らされているのが、どこか継ぎ接ぎな感じがして、まるで空間から乙骨だけが浮いてるみたいだと虎杖は思う。
というか、それよりも。
「あれ…」
虎杖は胸元を触る。
「俺、死んだんじゃ…」
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます！！完結する…のか…？と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか！終わらせます！！笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします！！🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます！！完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします（^人^） (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです！！ (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに！！🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2023年9月25日 8時
