007: もう恋なんてしない ページ8
ここには犯人がいない事を確認した警官は、店員に礼を述べ店を後にする。
彼女はそれを確認すると、腕をほどき何事もなかったかのようにグラスをくるくると回す。
「君……♢」
口を開くと、彼女がこちらを向く。
赤らんだ顔、酒が回り眠そうな瞳。先ほどの鋭い瞳はない。
「まさか気づいてたの…?」
尋ねると、彼女はふふと笑ってみせた。
「何に?私は何にも気づいてないわよ…?ただ、あなたと飲んでるのが邪魔されたくなかったそれだけの話よ。それに私、警察とか好きじゃあないのよ」
気づいてない、ねぇ…♤
警官だと気づいてる時点で、色々可笑しいし絶対確信犯なんだけどね…♧
けど。
へぇ、とボクは呆れたように笑みを浮かべる。
「で、なんでしたっけ。さっきの話の続き、」
彼女は髪を耳にかけ言うが、半分呆れ笑いながら「ううん、なんでもないよ♧」と返した。
なんて女の子を引き当てたんだろうなボクは。
彼女は恐らく、最初から__出会った時からボクが殺人犯だと気づいていたのかもしれない。いや、そうだろう。
恐らく、微かに香る血の匂いにも気づいている。直感だが分かる。
殺人犯と分かっていても、自分を優先した。
彼女にとって、楽しければ誰であろうと関係ない。
邪魔される方が、彼女にとって許せない事なのだ。
してやられたな…♢
間違いなく彼女___
同じ闇の人間だ。
同類は同類を引き寄せるとはよく言ったもの。
なんか、興ざめしちゃったな…
ヤって殺そうと思ったんだけど、彼女を食べる気分ではなくなっちゃった♧
ボクは彼女にならって、酒をぐっと喉に流す。
「そう…だね♤ボクも、君と飲むのは邪魔されたくないかも…♧」
お互い闇の人間なのだと気づいている。
けれど、気づいていないフリをして一夜限りの時間を楽しむ。
その後、ボクは『ただの酒に付き合っている男』として彼女の愚痴を聞き続けた。
彼女は強い酒を何度も喉に流し、ヘロヘロになりながら最後はボクに抱きつき、わんわんと泣きながらこう言った。
「もう…、もうッ恋なんてしないんだからッッ!!糞喰らえばいいのよ、ばぁぁぁあかッッ!!!」
首元で言う彼女の頭を撫で、ボクは「うんうん、そうだね♤」と慰める。
なんか…
ボクも随分愚かというか……馬鹿だな♢
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鼻毛太郎(プロフ) - りささん» コメントありがとうございます!🙌これから読み始めるという段階でしょうか、長いシリーズですので暫くの暇潰しになって頂ければ幸いです😌ちなみに私は書いておきながら、覚えておりません!笑 そんな作者ですが、是非お付き合い頂けるとありがたいです! (2月19日 23時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 私のところはかあさんのお腹の中から来るのよって言われました。生々しい、、、 (2月19日 23時) (レス) id: 53f4f6e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
みな - 赤ちゃん、、私は親に聞いたら「ん?掃除機からぽんっ!!ってうまれたよ」って言われました。(うちの親おたまがおかしi(( (2020年12月1日 17時) (レス) id: f5cf3e679c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ゆゆさん» よくお分かりで…!いつか気づく方が出てくるだろうなと心待ちにしていたのですが、ついに…思わず「きた…!」と言ってしまいました。お分かりの通りとても、、、好きです、、、 (2020年10月10日 23時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 主さんさてはジョジョ好きですね? (2020年10月10日 20時) (レス) id: 861ee0d781 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年5月24日 15時