この世界の嘘の８割は、貴方の為に出来ている ページ2
「先輩。裏がとれました」
「うむ…」
片手のトランシーバーから樋口の報告を聞き、目の前の標的に眼光を向ける。
「予定通り、誅殺だ」
刹那、数匹の黒龍が真っ直ぐに伸び、既に及び腰で歯を震わす標的を食い殺さんとした。
しかし。
「いやぁぁぁ！」
「ぐふぉっ」
「…は？」
芥川の操る黒豹は、所在なさげに宙に静止する結果となった。それも全て、突然視界を横切った物体のせいである。
「…あ、あれ？私、痛くない…」
空から突然降ってきて、挙句に仕留めるはずの標的の頭に直撃した物体…というか、１８、９くらいの少女…は、「ああっ」と間抜けな声を出すと、勢いよく立ち上がった。
「ど、どうしましょ！私…人を下敷きに…大丈夫ですか！？」
白目をむき、泡をふく標的を少女はぶんぶんと勢いよく振った。気付けのつもりのようだ。
「あれ？待って…、こういう場合って確かあまり動かしてはいけないのでしたっけ…
た…担架！」
きょろきょろ辺りを見回して、少女はやっと自分以外の意識がある人間の存在に気付いた。芥川と目が合ったのだ。
「あ、あの、担架を持ってきて頂けますか？」
「…断る」
「ええっ」
「其奴はマフィアに歯向かい武器庫を荒らした不届き者ゆえ、生かしておく価値など無い」
「不届き者…」
少女は目下の重傷者と芥川を幾度か見比べ、「悪い人ってことですか…」と不服そうに頷く。
「それより貴様は一体何者だ」
「え？私…ですか？」
「何ゆえ空から降ってきた？しかもこんな人通りのない裏路地に」
「えぇと…それは…」
少女は困惑しきった顔で、神様が…夢が…などと訳の解らない不明瞭な言葉を呟く。
痺れを切らした芥川は、空中に静止した黒豹を再び動かした。
「作戦の予定時刻を過ぎている…手間取ると太宰さんからの評価に差し支えるゆえ」
このまま斬り捨てる、という芥川の言葉がそのまま少女の死刑宣告となった。そして、哀れな少女の体は真っ二つに…
というようなこともなく。
少女の体に触れた途端、羅生門は砂塵と化したので、少女は命を永らえ。そして芥川は二度もフラストレーションを味わわされる結果となった。
「『人間失格』…？真坂、貴様」
と目を見張って芥川が呟き、
「今の子犬さんたちは手品ですか？」
と目を輝かせ少女が尋ね。
噛み合わない会話と微妙な温度差が二人のファーストコンタクトとなった。
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茂木 - すみません。一回更新してから暫くして気付き、きちんと外したつもりだったのですが。まだ残っていましたか？ (2018年7月10日 18時) (
レス) id: f53deb6bef (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグちゃんと外しましょう。違反行為です (2018年7月8日 21時) (レス) id: bf21fb724f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茂木サカナ | 作成日時：2018年7月8日 21時
