行かないで・・涙。(tkxin♀)涙シリーズ(１)

＝５滴＝ ページ5

「んっと・・んっと。」


もじもじ小さな声で言って

隣に座ってる俺をチラッと見る。




俺は目で、頑張れって言って

慧の背中をそっと撫でた。




慧は６人掛けのテーブルをクルリと見て




光さん、親父。

テーブルはさんで

慧、俺、涼介

＿＿＿＿の座り位置。




斜め前の親父をチラッと見て

慧は俯いて・・。



光さんは、ニコニコして

「あ〜お茶、美味しい〜」って・・

誤解を生んだ張本人は、本当に忘れてんのか？？

のん気だなぁ・・。





慧が、グッと小さな湯呑を握って

「あのっ。
　宏太さんと涼介くんっ。」って話を切り出す。



２人は、何だかビクッとしながら

「「な、なに・・慧ちゃん。」」ってハモる。




慧は、意を決して

「あの、んっと。お食事会でママが息子って
　言っちゃったみたいなんですけどっ。
　あの、あたし、女の子なんですっっ。
　ねっ、ほら、ママからも訂正してよっ。もうっ。」



光さんは、お茶をゆっくり飲んでから

クスクス笑って

「ごめんなさい、宏太さん雄也君、涼介君。
　私ね、慧の事せっかく可愛く産んであげたのに
　慧には、どーでもいい男とか変態とかしか
　寄って来なくて。・・私とってもとっても
　心配でね・・。
　だから少しでも男の子に見える様に
　誤魔化して生活させていたの。」

はぁ。っと光さんはため息をついて

「だから、あの時もつい息子が居てって
　言ってしまって・・。宏太さんのコト
　信じてたのに・・ごめんなさい。
　雄也君も涼介君も驚かせてしまって。
　ふふ、おまけに今まですっかり忘れてたわ
　私・・ごめんね、慧。」



「もうっ。ママ・・。」




親父は、パクパク口を動かして

「え？じゃ、じゃあ・・
　慧ちゃんは・・娘さ・ん・・？？」



光さんはニッコリ笑って

「そう、一人娘の慧。
　ふふ、これからは、男の人が３人も居るから
　ママ、安心だわ。これからは、思う存分
　女の子の格好していいわよ、慧。」



「ママっ。もぉ〜。」




光さんが俺を真っ直ぐ見て

「ね、雄也君。慧の事お願いしてもいいかしら？
　いつでも何処でも、慧の事見守ってくれる？」



「ちょ・・ママやめてよっ。
　そんなコト言うのっ。」



俺は、ニッコリと笑って

慧を見てから、光さんを真っ直ぐ見つめて

「はい。見守ります。
　慧の事、守りますから、俺。」


「ふふ・・ありがとう、雄也君。
　とっても頼もしいわぁ〜。ママ安心っ。」


「もぅうっ。ママのばかっ。」

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