▼2話 ページ3
結局イタリアンに連れて行かれた｡
お金無いくせに私のために気張らないでよ｡
｢奥の席へどうぞ｣
手前の席が空いているのに奥へ案内されるのって何でなんだろう｡
奥行けばイチャラブしていいですよとかそういうことですか｡
運ばれてきた水を飲み､口を開く｡
｢霊幻さんクリーム系？｣
｢いや､今日はトマトスープの気分だな｣
｢そっか｡じゃあ私クリーム頼むね｡ちょっと食べていいよ｣
机の隅に置かれた胡椒とタバスコのようなものを見た｡
全て英語で書かれているため日本人としては分かりづらさを感じた｡
でもタバスコに分かりやすさなんて求めないしクリームにタバスコはかけない｡
｢いいのか？｣
｢もちろん｡あと私単品でいいや､外食のサラダは必要以上に高いね｣
｢お前､遠慮するような奴じゃなかっただろ｣
｢大人になったの｣
遠慮って言うか｡
なんか今は､我慢させられている気がする｡
霊幻さんの隣に居れるのは要領が良くて綺麗な人のはずなのに､私なんかが居て｡
でもそれだけで有難いから｡
我儘なんか言わないから､ずっと隣に居てね｡
｢すみません､ペスカトーレセットで一つ｡あと､魚介のクリーム単品で一つ｣
｢かしこまりました｣
バイトの高校生らしき女の子｡
女子高生を見ると相談所にやってきたあのJKを思い出してしまう｡もう霊幻さんの事なんか好きじゃないよね？
忘れていてほしい｡なんて､忘れてないはずないか｡
霊幻さんのことは私以外の生き物全てに忘れてほしい｡その代わり､霊幻さんに私のことも忘れてもらってもいいから｡
お互いのことを知っているのは私たち2人だけでいいよ｡また2人だけでどこか遠くへ行こうよ｡
あの瞬間が人生の中でいちばん嬉しくていちばん切ない瞬間だったよ｡霊幻さん｡
｢霊幻さん｣
｢なんだ？｣
｢私､今日は家に帰りたくないな｣
｢……や､駄目だ｡ちゃんと帰れ｣
霊幻さんは大学生にもなった私に対しても厳しい｡
過保護と言うか､なんというか｡
もしそれを過保護と言うなら､ずっと霊幻さんの傍に居させてよ｡
そんなことを考えていたら､鼻の奥がつーんとしだした｡
｢霊幻さん､好きだよ｣
｢おう｣
｢霊幻さんは？｣
｢…ああ､好きだ｣
嘘つけ｡
貴方のこと､一番わかってるのは私だよ｡
やっと会えた日に言ってくれた言葉も､実は嘘なんでしょ｡
｢…私が何番目なの？｣
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ぼうﾆﾝ(プロフ) - ゆづまるぴーなっつさん» う……ありがとうございます本当に嬉しいです生きる糧になります;; (2019年2月27日 22時) (
レス) id: ee25a3de65 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづまるぴーなっつ(プロフ) - 作品の世界に入り込んで読みふけてしまいました！これからも頑張って下さい！ (2019年1月28日 19時) (レス) id: 3668c80d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぼうﾆﾝ | 作成日時：2017年8月7日 20時
