息抜き俺得短編集【アイチュウ】

世界一ハッピー！【枢木皐月】 ページ30

1月1日。私の大好きな彼氏のお誕生日。新年がどうとか、なんてテレビでは言ってるけど正直私はそれより彼氏の誕生日のことで頭がいっぱいだった。
で、当の枢木皐月くんはお兄ちゃんである枢木睦月くんと一緒に正月の特番に出ている。ちなみに生放送だ。つまり、お誕生日はお祝いできていないということ。
朝から会えていない。うーん、会いたい。画面越しに笑う皐月くんをぼんやり眺めながらこたつの中で過ごしていた。

知らない間に寝ていたみたいだ。顔を上げずに、働かない頭で時計を見る。

「……一時半」

皐月くんが出ていた特番も終わって、昼ドラの正月版みたいな感じのを放送していた。
そして、こたつの上の籠の中のみかんが既に空っぽになっていることに気づいた。おかしい。私が寝落ちした時は確実にふたつはあった。マジックで顔を描いていたやつと、無地のやつ。2つとも籠から消えて、どこかに行っている。
どこだろうと顔を上げた時、ぽとりと顔つきのみかんが私の前に落ちてきた。頭の上に乗っていたみたいだ。乗せる人は1人しか心当たりがない。
周りを見渡してもいない。……けど、後ろを振り返ると後ろのソファに皐月くんがすやすやと寝ていた。
朝から働き詰めだったもんね。ちょっと寝かせておいてあげよう。起きたらまた盛大にお祝いしてあげるんだ。

「ん……A……」
「……ふふっ」

寝言で私の名前を呼ぶ皐月くんがちょっと可愛いな、なんて思ったりした。

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