紅四葉 ページ5
二人の視線が、そこで初めて交わる
「『...』」
そしてまたもや同時に口を開いた
『...当たり』
「...当たりです」
クスッ、とふたりは顔を合わせた
***
『幻太郎はさ...昔から怖がりでよく泣いてたじゃん?
あいつが入院したときだって...まぁそれは私もだったけどさ
...私が中央区に行くって、そう決まったときも...幻太郎、すごい顔してたんだよ?』
「はて...わっちはそのようなこと記憶には...?」
『ほら、またそうやって嘘を...ま、いっか。
これで幻太郎の嘘が聞けるの最後かもだし...
...でも、幻太郎はよく嘘をついて嫌なことから逃げてる。
それで、なんでも一人で抱えて...ッ幻太郎のお兄ちゃんの事だって...』
「A」
Aが何かを悔やむように声を上げると、幻太郎はそれを止めるように優しくAを見つめた
「...大丈夫です。
だから、そんな顔するんじゃない」
『...あれ?今度は私がひどい顔してた?』
クックッと喉を鳴らすA
そんないつもの彼女を見て、幻太郎は本当にもう二度と会えなくなるのか...と、今一度疑った
7人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ