彼女は呆れる ページ32
「まさかホントに許可貰えるとは……」
ぬいぐるみを取りに行く為、建物に向かう道を駆けながら彼女は呆れたように呟いた。
ダメ元で頼んでみたとはいえ、こうも簡単に別行動の許可が降りるとは彼女自身も思わなかったのだ。
しかも相手はいつもAに対してだけキツく当たるあのチョロ松。
だからほぼ無理だと確信していたのだが、こうなってしまっては拍子抜けもする。
「ホンットにアイツら、捕虜の扱い方知らないのね……ま、梅田組は壊滅しちゃったみたいだし、こっちの方が楽だからイイんだけど」
コツコツと真新しいヒールを鳴らしながら彼女は建物内に入り、先程チョロ松と進んだルートを辿る。
この時には既に敵は殲滅し尽くしたのか、辺りはしんと静まり返り、横たわる肉塊は皆悲惨な表情をしていた。
血溜まりを避けながら彼女はやがて階段前にやって来る。
すると階段前に1つ、不気味な笑みを口元に浮かべる継ぎ接ぎだらけの猫のぬいぐるみが横たわっており
彼女はその姿を見つけると安著の溜息をついた。
ぬいぐるみに歩み寄り、抱き上げると表面に付いた砂埃を丁寧に手で払う。
そうして大方払い終えた所で、彼女はその猫の頭を優しく撫でると
そっと胸に抱き寄せて、ギュッと抱きしめた。
「もう大丈夫よ、A。怖いのはいなくなった。
だから、ほら。戻っておいで」
そうして彼女はぬいぐるみの耳元で優しく、柔らかい声でそう囁いた。
更に強くぬいぐるみを抱き締め、彼女は目を閉じる。
暫くぬいぐるみを抱き締めたまま、彼女はその場に佇んでいたが
やがて瞼が上がると、彼女はパチパチと瞬きをして呆然とした。
「……あ、れ?此処は…何処?
…………チョロ松も、何処?」
Aはキョトンとした顔で辺りを見渡し始めたが
ふと視界の隅に何やら赤いモノを見つけて、すぐに見渡すのをやめた。
しかし一緒にいたはずのチョロ松がおらず少し不安に駆られるAは、なるべく周りを見ないようにしながらもオロオロと目を泳がせる。
此処は何処か、チョロ松は何処か、どうやって探そうか。
Aはどうしようか迷っていると、ふと脳内にいつもの調子の猴Э有瓩寮爾響いた。
『まったく……世話が焼ける』
「クロっ…!」
パッと抱き締めていたぬいぐるみの顔を見て、Aは安著の笑みを浮かべた。
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*IJu*(プロフ) - 柚原きこさん» 御指摘コメントありがとうございます!間違ってますね……寝惚けてたのかな( ˇωˇ ) わざわざ教えて下さりありがとうです!早速直しに行ってきます! (2018年1月17日 23時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
柚原きこ - コメント失礼します。ページ27の7行目の『怒っている』が『起こっている』になっていますよ。 (2018年1月10日 23時) (レス) id: c3c5b55407 (このIDを非表示/違反報告)
柚原きこ - *IJu*さん» ありがとうございます!この作品を心から応援してます!更新、頑張ってください。 (2018年1月4日 21時) (レス) id: c3c5b55407 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 柚原きこさん» コメントありがとうございます〜! こんな作品でよろしければ是非どうぞ〜! (2018年1月4日 19時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
柚原きこ - この作品のリンクとどういうものなのかを簡単に書かせていただきたいのです。もしよかったらお返事いただけると嬉しいです。長文、すみませんでした。 (2018年1月4日 17時) (レス) id: 1cca1a4110 (このIDを非表示/違反報告)
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