世界征服〜僕らのサーカス〜【イナGO】 VSフィフスセクター編 第陸幕

ハウトゥー世界征服 東 284 ページ7

慌てて僕もシュウの後ろへ向かおうとしたが、彼の植物がソレを阻んだ。

次々と伸びてくる植物。それらを相手にしながらと、宗正が無事かどうか心配になってくる。



この間にも宗正が苦しんでいたらどうしよう。
手遅れになってしまったら、どうしよう。



遂に僕は背中に真っ赤な翼を創って羽ばたくと、シュウの植物を全て振り切って、上空から宗正の姿を探した。



「………！」



嫌な予感は的中。

宗正はシュウの背後に回っていたようだが
ナイフを刺そうとした所で捕まったらしく、ナイフを持った手には黒い植物が巻き付けられていた。

そのまま彼の体は口のように開かれた花に引きずり込まれそうになっていて、井吹が必死に抗っていた。



あのままじゃ宗正が…！！



「宗正ッ！！！」



気付いてほぼ反射的に宗正の元に向かうと、左手(破壊)の力を使って彼に巻き付いていた植物を全て破壊。

自由になった宗正を直後に抱え1度シュウと距離を取ると、再び彼と対峙した。



「…ごめん。無理だった」

「良いんだよ、宗正。僕こそ無茶を押し付けてごめんね」



再び宗正を地面に降ろすと、彼は心做しかしょんぼりとした顔をしながら、ぎこちない言葉で僕に謝った。

そんな彼の垂れた頭を撫でながら慰めてやると、いつでも植物が襲って来てもいいように黒い左手を構えた。



さて…どうしようかな。


作戦は失敗した。となると次の作戦を考えないと。

でもあの植物はなかなかに厄介だ。
手数が多いし、下手に捕まったら最期だし。


出来れば宗正や陣一郎達には被害の出ないやり方がいいな。
そんな平和な作戦思いつくかわかんないけど。


せめて…せめて、シュウ本体の動きを止めてくれる何かがほしい。

植物はシュウの自我で動いている。
なら本体を攻撃すれば少しでも動きが止まるはずなんだ。


その間に銀のナイフを背中のあの花にっ…！！



「……？」



これからどうしようか、作戦を考えていると
ふと僕達の周辺に�瑁豊瓩�出来始めた。

…いや、この部屋全体に、だ。


それは少しずつ濃度を増し、視界が段々白んでくる。
同時に部屋の温度が下がったのか、少し肌寒く感じるようになっていく。



僕はこの光景を、つい先程も見た。



「霧……？」



そして息をすればするほど傷が癒えていくような
この優しくて心地良い感覚も、先程感じたものだった。

ハウトゥー世界征服 東 285→←ハウトゥー世界征服 東 283

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す