○髪の毛○ ページ33
あまりのゴウセルとの距離にドキドキして背筋をピンとしたまま固まっていたら
不意にゴウセルは私の手を握っていた片方の手を離した。
もういいのかな、と思って内心ちょっと安心していたのけれど、どうやらそうじゃなかったみたい。
その手はなんと私の背中に回されて、そのまま抱き寄せられてしまった。
もう片方の手は依然と私の手を優しく握り
私は驚きのあまり肩を跳ねさせ縮こまった。
鳴り止まない心臓の音。頬にゴウセルの髪の毛がさらさらと当たって擽ったい。
どうしよう、どうすればと内心焦っていたけれど
私は恐る恐る空いている片手を伸ばしてゴウセルの腰の上に置くと、ゴウセルは背中に回した手でポンポンと私の背中を叩いてくれた。
「…ゴウセルの手、ひんやりしてて気持ちいいね」
「Aの手は温かいな」
「でもこんな暑い日だと嫌だよね」
「いや、俺はそうは思わない」
「…ゴウセルって、やっぱり面白い」
そうしてとっても、優しい人。
私は思わずクスッと笑うと、ゴウセルの胸に顔を埋める。
するとゴウセルも私の肩の上に頭を乗せて、コツンと頭を私の方に寄せて来た。
……ゴウセルって意外と甘えん坊さんだったりして。
いつも無表情で何考えてるのはイマイチわからないけれど、もしそうだったとしたら子供っぽいところもあるのね。
かく言う私も人肌にあまり慣れてないから緊張してるだけで、本当はいっぱい人と触れ合いたい。
抱き締めて貰ったり、頭撫でて貰ったり、手を繋いだり。
ゴウセルはそういう事してくれるのかな?
私がやっても怒らないのかな?
「…ゴウセルの髪の毛、綺麗だね」
少しの間お互い何も言わず、ただ互いの体温を感じていたけれど
ふとゴウセルの髪の毛が目に入り、私は彼の髪の毛を弄ぶ。
手で掬うとさらさらと零れて、陽の光に反射してキラキラと輝く。
ゴウセルは「ありがとう」と告げると不意に頭を上げ
私の髪の毛を1束掴まえると、じっと見つめながら告げた。
「…だが、Aの髪も綺麗だ。よく手入れがされている」
「えへへ…髪の毛だけは綺麗にしようかなって…ブラッシングは真面目にやってるの!」
「長いのによく頑張ってるんだな。偉い偉い」
ゴウセルはポンポンと私の頭を撫でてくれて、私は嬉しくてふにゃりと笑顔を浮かべる。
自慢の髪の毛を褒められたのは素直に嬉しい。
今の私にはこれぐらいしか取り柄がないからね。
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*IJu*(プロフ) - フウさんさん» コメントありがとうございます〜!お気に召して頂けたようてま( ˇωˇ ) なるべく早く更新できるように頑張ります…! (2018年7月23日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
フウさん(プロフ) - すごく面白いです!!!早く続きみたいです!! (2018年7月22日 10時) (レス) id: 68aa123671 (このIDを非表示/違反報告)
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