検索窓
今日:13 hit、昨日:5 hit、合計:69,811 hit

彼女の理解 ページ28

「誰かが蹲って泣いているとする。
Aはソレを見て、その人は今どんな気持ちなのか、考えられるか?」

「………悲しい?」

「じゃあ、どうして悲しんでると思う?」

「…」



…いや、そんなのわかるわけないでしょ。

せめてヒント頂戴よ、ヒント。


そう頭の中で呟きながらも、僕は真剣にその人が悲しんでいる理由を考えた。


喧嘩、失恋、怪我、失敗。

他にも幾つか考えられると言ったら考えられる。


その全てを団長に伝えると、団長は一つ溜息を吐いてから「ニシシ」と笑った。



「そんなもんだ、人の心なんて」

「…は?」



だけど僕の頭が悪いのか、団長の言葉を理解出来ずにいた。



そんなもんだ、って…どんなもんだ?



「相手の感情はおおよそわかっても、その理由まではわからない。
どうして楽しそうに笑ってるのか、どうして寂しそうな顔をしているのか。

でもその理由は本人しか知らない。
その本人が伝えない限り」

「…じゃあ、本人から聞けばいいのか?」

「それで嘘吐かれたらどうするよ?
お前の場合は余程相手が嘘つくのが下手くそでない限り、疑おうとはしないだろ?」

「…」



…確かに、そうかもしれないけど。


じゃあどうすれば相手の本心がわかるんだろう。

どうすれば相手の気持ちがわかるんだろう。



そう考え始めると、ふと団長が僕の顔を覗き込んできた。

そしてまたニッと歯を見せて笑う。



「そうそう、そうやって考えるんだ、相手の事を。

でもあんまり難しく考えるんじゃねーぞ?
相手がどんな気持ちなのか、それだけ感じ取れれば十分だ」

「そう…なの?」

「おう!あんまり深く知ろうとすると、逆に傷つくヤツもいるからな。
そこら辺の境目が、ちとお前には難しいかもな」



…つまり相手の喜怒哀楽ぐらいは理解しろ、という事だろうか。
その理由までは知らなくてもいいと言う事だろうか。


だとしたらアドバイスにも何にもなってないような気がするのだが。

人の気持ちをよく考えろって言われたのに、最終的には『あまり深くは考えるな』って言われて。
一体どっちなんだってんだ。



「とにかく!お前は相手の気持ちを考える事!わかったな?」

「お、おう…多分、わかった」



何だか無理矢理な気もする団長の言葉に僕は曖昧に頷いた。

すると本当に理解したと思ったのか、それとも気付かないふりをしているのか
団長は「よしよしよーし!」と子供のような微笑みを浮かべた。

彼女の奇襲→←彼女の質問



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
68人がお気に入り
設定タグ:七つの大罪 , ゴウセル
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

*IJu*(プロフ) - 如月李瑠葉さん» コメントありがとうございます! ツンデレ良いですよねツンデレ(( そんな、天災だなんて…← 僕には非常にもったいないお言葉でず…_( _´ω`)_ (2017年1月9日 12時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
如月李瑠葉 - これも面白いですね!夢主のツンデレっぷりがイイ…天才ですか!? (2017年1月9日 1時) (レス) id: 5cf1189260 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年3月15日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。