彼女の為なら【七つの大罪】part4

彼女の質問 ページ27

「…団長は、人の心は読めないんだろ？」

「おう、まったく」

「なら、どうして人の気持ちがわかるんだ？」



何処までも飄々とした態度で臨む団長に尋ねてみると、団長はｷｮﾄﾝとあどけない顔をして首を傾げた。


人の気持ちを考えられない僕とは真逆に、団長は時々まるでわかっていたかのように接する事がある。

ﾍﾛﾍﾛ笑ってるバンの悩み事を聞いて慰めてやったり、やけに大人しいゴウセルの為に新しい本を買ってきてやったり。

戦闘に置いてもそう、まるでそこに攻撃が来るとわかっていたかのようにかわしたり、攻撃を仕掛けたり。
いつも餓鬼みたいな顔でﾆｺﾆｺ笑っているが、そこら辺はきっと団員の中で1番長けていると思う。


だからこそ気になる。

どうして団長は心が読めないのに、相手の気持ちをわかってやれるのだろうかと。


そしてソレを見習って、僕もどうにか人の心を理解出来るようになりたい。

そうすればきっと、ディアンヌやキングや他の団員とも仲間ともまともな意思疎通が図れるだろうし。



………それに、もしかしたら


あのメガネ人形の気持ちもわかるかもしれないし。



「どうしてって……」



僕の疑問に団長はこてんとさっきとは反対側に首を傾げた。

そして少しの間考えるような素振りを見せ
その間僕はじっと団長の答えを待っていた。



「……わからん！」

「…………へっ？」



しかし出て来た答えは答えになっていなかった。


しかもあまりにもハッキリと答えたもんだから、拍子抜けしちゃって。

自然と伸びていた背筋を曲げて眉を顰めると、団長は腕を組んで難しい顔をした。



「第一、人の心はそう簡単にわかるもんじゃあない！」

「え、えっ？さっきと言ってる事全く違うんだけど？」



さっきは団長は、相手の気持ちを考えるのは簡単だと言っていたのに。


掌を返されたような、先程とは真逆の意見に僕は思わずツッコむと
団長は「例えば」と口を開いて、ﾋﾟｯと人差し指を立てた。

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