辻 439 ページ22
「…………はァ？」
彼女の説明に倉間は更に眉根を寄せて首を傾げた。
でも彼もきっと意味を理解していないワケではないんだろう。
ただ、�犁啓悪瓩瞭睛討�あまりにも簡単で、あまりにも酷な事だから。
「何処でもいい。何回でもいい。どんな深さでもいい。なんならナイフじゃなくってもいい。
とにかく僕に傷を付ければ、なんでもオッケー」
訝しむ俺達を置いて「簡単でしょ？」と笑顔を浮かべるイドラ。
まるでこれからナイフを刺されるとは夢にも思っていないような明るい態度だ。
また、刺せといっているのが彼女自身なのも相まって奇妙に思える。
倉間も一時は御機嫌な様子だったのに、また眉根に皺を寄せて顰めっ面をすると
「つまり、」と彼はナイフを手慣れた様子でくるくると弄んだ後、
「＿＿＿こういう事か？」
……………彼女に、ナイフを振り翳した。
刃は彼女の左腕に刺さり、俺は思わず反射的に目を背けた。
当然だが刺した箇所からは血が滲み、彼女の真っ黒なコートの袖を更に黒く染め上げる。
しかしイドラはｹﾛﾘとした顔で「そーゆー事」と平然と答えた。
その飄々とした態度に倉間は引き気味にナイフを引き抜くと、一歩後ろに下がってから舌打ちを1つかました。
「ｯﾁ……動き回ってるんならまだしも、何も抵抗しない�犂擬圻瓩鬚い燭屬辰討盒司軌�いだけだな」
「だって、僕が逃げ回っちゃったらキミ達じゃ捕まえられないもの」
「…………」
イドラの何処か挑発するよう物言いに倉間は彼女を睨みつけた。
対して彼女はマスクの下で笑うだけ。
その笑みを益々機嫌を損ね、やや不機嫌そうな表情の倉間は不意にこちらの方を向くと、先程彼女を刺したナイフを差し出した。
だが思わず俺は身を引いて、両腕を胸の前で握りしめたまま、受け取ろうとはしなかった。
そのナイフには真新しい血が付着していた。
当たり前だ。いまさっきイドラを刺したナイフなんだから。
きっとコレを受け取ってしまったら、俺は彼女を傷付けなくてはいけないんだろう。
そんな事、出来ない。
出来るワケがない。
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＊IJu＊(プロフ) - ゆきうさぎさん» コメントありがとうございます！続編来てしまいした…()これからも亀更新ですが、頑張らせて貰いますー！！ (2018年8月11日 2時) (
レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきうさぎ - 続編おめでとうございます！！楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2018年8月10日 15時) (レス) id: dea74ddfb3 (このIDを非表示/違反報告)
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