弟の憂鬱【瞬木雄太】 ページ20
俺の兄ちゃんには、昔から仲の良い女の子の友達がいる。
名前はA。だから俺はA姉ちゃんって呼んで慕っていた。
所謂幼馴染みって関係で、家も近くてよくお互いの家を行き来しては、空がオレンジ色になるまでずっと4人で遊んでたのを覚えてる。
だけど、兄ちゃんが中学生になった時からかな。
友達同士だった関係が、ちょっとだけ変化しちゃったみたいで。
気付いたら俺と瞬はあまりA姉ちゃんとは会わなくなって。
兄ちゃんはA姉ちゃんと2人だけで出掛ける事が多くなった。
俺、すぐわかったよ。
2人が恋人同士になったんだって。
でもその時の俺は正直嬉しかった。
だって兄ちゃんがA姉ちゃんと結婚すれば、A姉ちゃんは俺達の義姉ちゃんになるんだから。
また一緒に遊んでくれると思ったから。
それにその当時、聞いたんだ。
『兄ちゃんと結婚したら、一緒に住んでもいいよね』って。
そしたらA姉ちゃん、顔をすぐ真っ赤にさせて、めちゃくちゃ慌ててたけれど、ちゃんと頷いてくれたんだもん。
その時思い描いていた生活は、やはり幼稚的で。
兄ちゃんと付き合う前と何ら代わりのない日々を頭の中で勝手に展開してたんだ。
そんなの、あるはずないのにね。
「雄太君、おかえりなさい」
学校が終わって家に帰ると、いつも通りA姉ちゃん…いや、A義姉さんが俺を出迎えてくれた。
水色のエプロンに黒の髪飾りを頭にして。
高一の俺より小さいから、顔をやや上に傾けて俺を見上げながら。
「…ただいま」
「丁度良かった！今ケーキを作ってる所だったの！
良かったら雄太君も手伝ってくれないかな？」
ﾆｺﾘと柔らかな笑顔を浮かべて、A義姉さんは言う。
彼女はお菓子を作るのが得意で、何か祝い事があるといつも作ってくれる。
つまり、今日は何か思い入れのある日付らしい。
一体なんなのかは大体予想出来る。
だからかな、無性にイライラしちゃうのは。
「…うん！わかった、手伝うよ！」
だけどそんな俺の心情は微塵も表面に出さないようにして、俺は頷くと「ちょっと待ってて」と告げて、荷物を自室へと置いて行く為階段を上る。
去り際にA義姉さんは音の外れた鼻歌なんか歌ってた。
俺は2階に上ると、誰もいないのを確認してから
1人大きな溜息を吐いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊IJu＊(プロフ) - ココ松さん» 大変長らくお待たせしてしまいました…リクエストしたお話が書けました！お手数ですが続編の方へお願いします…！ (2018年1月16日 1時) (
レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - ココ松さん» 了解しましたー！ お話が思いつき次第更新致しますのでしばしお待ちを！ (2017年12月18日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ココ松 - ＊IJu＊さん» もちのロンでその人です！ (2017年12月14日 21時) (レス) id: 352fae32d2 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - ここ松さん» こんにちは、お久しぶりです〜！リクエストありがとうです！ 因みにタクト君とはイナイレの神童拓人ですよね？ (2017年8月26日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ここ松 - お久し振りです！またリクエストよろしいですか？今度はタクト君と月光を弾く話って出来ますか？ (2017年8月25日 20時) (レス) id: ed1304e9db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
