嫌いらしいのです ページ43
「…え？」
瞬木君のまさかの言葉に私は思わず持っていた紙袋を落としかける。
「……じゃあ、この、お菓子は…」
「その子の手作りだ」
……通りで、美味しいわけです。
つまり私は、その子が丹精込めて瞬木君に作ったはずのお菓子を、彼から押し付けられたようで。
それを私は軽いノリで食べてしまったようで。
「…マカロンは嫌いなのですか？」
「別に。つか食べたこと無いし」
「では何故、私に？
こんなにも美味しいお菓子ですのに…」
「…」
瞬木君は俯き、眉を顰める。
「…嫌いなんだよ、ソイツ」
「この、とても美味しいマカロンを食べてくれた方を、ですか？」
「ああ」
瞬木君はハッキリと頷き、私から目をそらした。
そして女子が愚痴でも溢すかのようにマカロンをくれた子について話してくれました。
「ソイツ、元は同じ中学の奴でさ。
俺が万引きしたって聞いた時、あからさまに俺の事引いてたんだぜ？
なのによ、高校で同じクラスになってからコロッと態度変わっちゃって。
ホンット、意味わかんねー」
「だから嫌い」と付け足して、瞬木君は長い溜息を吐く。
話を聞いて、私は暫く何も言えずに紙袋の中のマカロンをただ見つめた。
街頭に反射して、キラキラと宝石のように輝くマカロン。
色は茶色だけで乏しいですが、形も味も申し分ない。
瞬木君の為だけに作られたはずの、マカロン。
「…」
その子はどんな気持ちでこのお菓子を作ったのでしょうか。
その子はどんな思いを込めてこのお菓子を作ったのでしょうか。
そしてその子が今この場にいたら
一体、何を思うのでしょうか。
「…ふぅん…」
私は1人頷き、マカロンを一つ摘んだ。
「…え？それだけ？」
瞬木君は意外だったのか、目を丸くして私を見た。
私はそんな瞬木君の元へと歩み寄り、
彼の口にマカロンを捻じ込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 170人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
無色の詩姫【イナオリ】第六章
【イナズマイレブンGO】ミストレのご先祖様は世界最強のエースストライカー！part4
【妖怪ウォッチ】雷門の天才少女は妖魔界の人気者！？〜その2〜【イナイレ】
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊IJu＊(プロフ) - 碧さん» コメントありがとうございますっ！！ ブァ、嬉しいっ……！！ 更新頑張りますっ！！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2015年1月14日 0時) (
レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 面白かったです！更新頑張ってください！ (2015年1月13日 21時) (レス) id: 74baf496f0 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 腐女子さん» 回覧ありがとうございます！ そう言って下さると嬉しいです(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2015年1月10日 12時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
腐女子 - 見ました。面白かったです！！ (2015年1月9日 21時) (レス) id: 3f28cb10a1 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - メルボルンさん» 本当ですか？ありがとうございます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) どうなっていくかは自分でもわからないですが、楽しみにしていただけると嬉しいです！！← (2015年1月9日 0時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：＊IJu＊ | 作成日時：2015年1月8日 0時
