サッカーと大罪人とお好きな松とヒーローと【短編集】2 (ページ40)

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青眼のカラス【妖怪松】ページ40

人を忌み、恨み、妬んだ妖は
人の情に絆されると、忽ち元の姿に還ってしまう。

－－－

とある村には、それはそれは美しい女性がおりました。

絹のような黒髪、雪のように白く柔らかな肌、そして宝石のような瞳。

そんな彼女は心優しく、村の誰もが彼女を慕っておりました。

しかし、彼女の肩にはいつも青い目をしたカラスが乗っておりました。

カラスは村人から不謹慎に思われ、彼女から追い払おうとしましたが
何よりそれを彼女自身が嫌いました。

それも、物凄く剣幕で。

気になった村人の1人が彼女にカラスの事を尋ねてみると、彼女は答える代わりにこんな話を聞かせてくれました。

昔、とある少女が村の近くの森を歩いていると
道に1人の男が倒れていました。

男は酷い怪我をしていて、少女はすぐさま手当てしようとしましたが、彼がそれを許してくれません。

それどころか彼女を邪険に扱って、ふらふらと立ち上がり、そのままその場を立ち去ろうとします。

少女はそれが痛々しくて見てられなくて
遂に男の言うことも聞かずに無理矢理傷の手当てを致しました。

男は最初は嫌がっていましたが、弱っているせいかそう強くも言えず
最終的には大人しく少女が手当てし終えるのをじいっと待っていました。

やがて手当てが終わると、男は無言でその場を立ち去りましたが
明くる日、その男は再び彼女の前に現れました。

彼は自分を手当てしてくれた礼として、高価な着物と大判小判の入った葛篭を彼女に渡そうとしましたが、少女がそれを拒否します。

代わりに彼女は『友人になってほしい』と頼みました。
少女の家は貧しく、それでいて両親は既に他界していた為、1人寂しい思いをしていたのです。

男は彼女の頼みに怪訝そうな顔をしながらも
こくんと頷いて、彼女に自分の名前を伝えました。

男は『カラ松』と名乗ったそうです。