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彼の焦り ページ38

「〈七つの大罪〉が王国を滅ぼしにきたー!!」



王都の人間は皆、慌てた表情で俺達が向かっている方角とは真逆の方に逃げていく。


前方には突如大きな炎の竜巻が発生し、大きな爆発音を発しながら激しく燃えていた。



「すさまじい魔力の放出。
だが、ディアンヌではない……

彼女の魔力は消えかけている。
急いだ方がいいな」



仲間の危機を感じた俺は、逃げる人間の間を上手く通りながら、足を早めた。


そう言えば、と思い後ろを振り返ると
リラは眉を顰め、何やら怒っているような表情をしていた。



「どうした、リラ?」



気になって俺は走りながら声を掛ける。


するとリラは俺を睨みつけるように見て、口を開いた。



「……ねぇ、もう『リラ』って呼ぶのやめてよ」

「…?」



彼女は不快感を露わにしながらそう言って、走るのをやめた。

俺は彼女の様子を見てすぐに止まり、首を傾げる。



「何故だ?」

「…何か、イライラするから」

「何故、イライラするんだ?」

「……女の人の、顔が出てくるから」

「何故、女の人の顔が出てくるんだ?」

「…」



何回か彼女におうむ返しで尋ねると、
彼女は眉を顰めたまま俯き、

少しの間を空けてから、



「………大切な人、だった気がするから」



と、呟いた。



「…どうゆうことだ?
話が繋がっていない」

「わかんないよ……
でも…そう、思うの…私……」



彼女はその場で頭を抱えると、口の端を歪ませる。



「何か今日の私、可笑しいよな…

…いや、昨日から……
メリオダス達に会った時から…可笑しくなっちゃったのかな…」

「リラ…?」

「だから、その名前で呼ばないでっつってんだろっ!!」



しゃがれた声で話していたのが一変、

いきなりそう怒鳴り散らし、また頭を抱えると
彼女は救いを求めるような瞳で、俺を見る。



「なぁ……私の名前、『リラ』じゃないでしょ…?
ホントは…違うでしょ…?」



今にも泣きそうな表情で、
消えそうな声で、俺に尋ねる。



「…」



俺は彼女の疑問に答えなかった。

いや、正確には答えたくはなかった。


何故なら、彼女はまだ『リラ』だったから。



「…なぁ…答えてくれよ……!」

「……全てが終わったら、な」



一言だけ、そう伝えると、俺はまたディアンヌの方へと向かい始めた。

彼女は不服そうな顔をしながらも、ついて来てくれた。


そうだ、全てが終わったら、


また『リラ』を一から作り直す。

彼女の訂正→←彼女の決断



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*IJu*(プロフ) - ユキヤさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで嬉しいです^^名前についてはどちらも変更可能ですので、そちらで御自身のお好きな名前に変えて頂ければ……! (2022年9月10日 18時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
ユキヤ - 名前が一緒でめっちゃ読みにくいけどめっちゃおもろい今日このごろ (2022年9月10日 12時) (レス) id: 30a2e3b099 (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - そうなんですか...まぁ、アニメキャラはみんな可愛いです。機会があったら調べてみますね♪ (2015年8月13日 21時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 銀来さん» いえ、好葉というキャラクターがいるんですよ…紛らわしくてすみませんorz 因みにマギはあまりわかりません、ごめんなさいorz (2015年8月13日 13時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - 好葉→紅覇ですか?えっと、要するに、マギ好きですか!? (2015年8月12日 16時) (レス) id: 6789b7c894 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作成日時:2015年3月23日 19時

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