グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ8)

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「つまりお前は、俺とンーフー出来る関係になっても構わないのかって聞いてンだよ」

気付いたら私は壁際に追い詰められていた。
いや、本当にいつの間に。しかも両手を檻のようにして私はまんまと彼の腕の中に閉じ込められたってワケだ。

そんな状態で沙明は、今まで見た事がないような真剣な顔で私を見下ろす。
声もいつもより低くて、思わずドキドキしてしまう。

……ドキドキ？なんで私はドキドキしてるんだ？
いや、怖いからだろフツーに考えて。何考えてるんだ。

「ち、ちょっと落ち着きなって？少しからかっただけじゃん？」

「あン？」

「ｲｴ、ﾅﾝﾃﾞﾓ、ﾊｲ」

うん、恐怖から来るドキドキだコレ。こっわ。
タダでさえ目付き悪いのに、低い声で威嚇されたらめちゃくちゃ怖いわ。いやこっっわ。

とゆーか、今更だけど……ヤバくないか、この状況？

今通路には誰もいないし、逃げようにも逃げられない。いや、仮に逃げられたとしても沙明が逃がしてくれなさそう。

この状況の打開策は……

「……沙明、」

ちょっとまだ怖いけど、沙明と目を合わせる。
私と目が合うと若干眼光が解けて沙明は首を傾げた。

そんな彼の頬に片手を添える。
そうしたら分かりやすく沙明の頬が染まった。

とろんとした目で、私を見る。
壁に付いていた片手が私の添えていた手の上に重ねられ、きゅっと軽く握られた。

そのままゆっくり目を閉じるので、私は彼の頬をひと撫でしてから……

「＿＿＿＿掛かったな」

片足で沙明の足を引っ掛けた。

沙明の体が傾く。そのまま床に倒れそうになって。胸倉掴んで頭打たないようにだけした。

すかさず体制が崩れた沙明の体に跨る。
こうして私は沙明を無力化する事に成功したのだった。

対沙明用護身術……セツに習っといて良かったーー！！！

まさか本当に本人に使う日が来るとは思わんかったけど！

沙明はまだ何が起きたのか分からないらしく、ポカンとした顔で天井を見ていた。
あんまりにもその時間が長いから、頭打ったのかと思って。軽く頬をペチペチ叩きながら声を掛けたら、途端に沙明は私を恨めしそうに睨んだ。

「ちょっ、期待させといてコレはねーーだろっ？！どーゆープレイだよ？！」

「すまん、つい」

ようやくいつもの沙明に戻った気がする。
バタバタと暴れる沙明を宥めながら、私は一息吐いた。